電力の自由化でLPガス会社が集結へ、楽天と組んで電力をセット販売電力供給サービス(2/2 ページ)

» 2016年05月18日 13時00分 公開
[石田雅也スマートジャパン]
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電気料金の未回収分を協同組合が補償

 2016年4月に始まった電力の小売全面自由化を機に、電力会社と大手のLPガス会社が提携してセット販売を開始するなど新たな競争状態が生まれた。続いて2017年4月には都市ガスの小売も全面自由化になって、LPガス会社を取り巻く事業環境は大きく変わる見通しだ。

 中小のLPガス会社の生き残りをかけて、エネルギー需要開発協同組合が2016年4月20日に発足した。組合方式でLPガス会社の電力小売事業を支援する狙いだ。5月13日の業務開始と同時に、楽天スーパーポイントや簡易HEMSを生かした支援サービスの構想を発表した。

 協同組合は電力の小売に伴う「滞留債権補償サービス」もLPガス会社に提供する。LPガスの料金が前払い方式であるのに対して、電気料金は後払い方式のため、需要家の破産や死亡などによって代金を回収できない可能性がある(図5)。

図5 電力の小売に対する「滞留債権補償サービス」。出典:エネルギー需要開発協同組合

 こうした滞留債権が増加すると、中小のLPガス会社にとっては経営を左右しかねない。滞留債権のうち6カ月以上が経過しても回収できない分を協同組合が補償する。さらに簡易HEMSを活用して高齢者向けのサービスも提供する予定だ。高齢者の生活パターンを分析して認知症の予防に生かす。

 協同組合を通じた電力の供給体制は現在のところ明らかになっていないが、クレアールエナジーが担当する可能性が大きい。すでにクレックスグループの7社がクレアールエナジーと取次契約を結んで、電力とLPガスのセット販売を開始している(図6)。LPガス会社は小売電気事業者に登録しなくても電力の販売が可能になる。

図6 電力とLPガスのセット販売体制。出典:クレアールエナジー

 LPガス会社は協同組合に加入するにあたって1口10万円の出資金を納めたうえで、月額3万円の賦課金を支払う必要がある。協同組合は関東と九州からサービスを開始して、順次エリアを拡大していく計画だ。全国で2万以上あるLPガス会社のうちどのくらいが協同組合に加入するかによって、電力市場における競争力が決まる。

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