関西電力のノウハウを「auでんき」に、顧客情報管理でも協業拡大電力供給サービス(2/2 ページ)

» 2016年05月19日 15時00分 公開
[石田雅也スマートジャパン]
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「計画値同時同量」の支援ツールも提供

 特に送配電事業者(電力会社の送配電部門)のシステムと連携する機能に強みを発揮する。小売電気事業者は電気料金を計算するために、需要家別に30分単位の電力使用量のデータを送配電事業者から取得する必要がある。KS-SOLでは電力使用量のデータをインターネット経由で自動的にダウンロードするツールも提供している(図4)。

図4 30分単位の電力使用量をダウンロードするツールの機能。出典:関電システムソリューション

 このツールを使うと、広域機関が定めた標準規格に従って全国各地の送配電事業者からデータを取得できる。電子証明書による認証機能を備えてセキュリティも高めた。小売電気事業者は販売する電力量(需要)と調達する電力量(供給)の計画を30分単位で一致させる「計画値同時同量」を守ることが求められている。そうした需給管理の面でも、送配電事業者からデータを自動的に取得できるツールは有効だ。

 KS-SOLは関西電力のノウハウを集約したNISHIKIを拡販するために、NECのほかにもITサービス大手の伊藤忠テクノソリューションズやTISと販売代理店契約を結んでいる。KDDI以外の小売電気事業者にもNISHIKIが広がっていくと、顧客情報管理システムを通じて関西電力の提携先が拡大する可能性も大いにある。

 関西電力は10年後の2025年度に震災前の経常利益を上回る事業ポートフォリオの実現を目指している(図5)。主力の総合エネルギー・送配電事業では、首都圏を含む電力販売とガス事業で収益を拡大する方針だ。そのためにグループ内外の商品やサービスを組み合わせて営業力を強化していく。LNG(液化天然ガス)の調達や火力発電の分野では東京ガスと提携関係を深める。

図5 関西電力が目指す「10年後の事業ポートフォリオ」。金額は経常利益。出典:関西電力
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