パネルメーカーが自社以外のパネルも保守、技術力生かしたO&Mサービス開始太陽光

買取価格の低下やメガソーラーの最適立地数の限界など将来的なビジネス面での厳しさが指摘される太陽光ビジネス。その中で既存の太陽光発電設備を、効果的に活用して高い発電量を維持しようという機運が高まっている。その中で注目を集めているのがO&Mサービスである。

» 2016年05月25日 11時00分 公開
[三島一孝スマートジャパン]

 サンテックパワージャパンは、太陽光発電ビジネスが転機を迎える中、O&M(運転管理・保守点検)サービスへの取り組みを強化する。2016年5月24日には新たに、自社パネル採用の太陽光発電所以外に対してもO&Mサービスを開始することを発表した。

 サンテックパワージャパンは、もともとの母体が、電子部品商社のMSKで日本市場で太陽電池パネルを展開し始めてから既に35年が経過している。長野県佐久市に長野テクニカルサポートセンターを保有しており、太陽光発電設備についてのさまざまなノウハウを備えていることが特徴だ。従来はこれらの技術力をベースに、自社開発の太陽光発電所に限定して「O&Mサービス」を提供してきた。

 同社では従来、太陽光発電システムの販売を中心としてきた。しかし、FIT(固定買取価格制度)の買取価格低下などの影響を受け、将来的な成長性が不透明となる中で、太陽光発電システムを中心としつつも総合エネルギーソリューションへと舵を切る方針を示している。

 これらの流れの中、新たに取り組むのが、他社メーカー品を含む太陽光発電所の「O&Mサービス」である。自社開発以外のものも含み、高圧太陽光発電所(50キロワット以上2000キロワット未満)のO&Mサービスの受け付けを2016年6月1日から開始する。

 O&Mサービスについては、長野テクニカルサポートセンターにおける実績を生かし、モジュールの潜在的不具合を顕在化させて障害を未然に防ぐことを重視。さらに取り扱いを開始したドイツのメテオコントロール社製の遠隔監視システム(関連記事)を使った遠隔監視業務や発電分析などを利用し、障害の早期発見や早期修復を可能とし、O&Mコストの低減を進めていくとしている(図1)。

photo 図1 サンテックパワージャパンが新たに国内展開を開始するメテオコントロールのblue'Log Xシリーズ

 サービス価格については、発電所の規模やシステム構成、立地条件などのメニューで変わるとするが、全てのサービスメニューを選択する場合は、1000kW(キロワット)規模の発電所で約200万円(参考価格)とするという。サンテックパワージャパンでは、3年間で30万kWの受注を目指すとしている。なお、同社では「お試しキャンペーン」としてO&Mサービスメニューの中から、サーモカメラによる「不具合点検」を無償で提供する期間限定キャンペーンを実施するとしている。

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