リチウムイオンが躍進、電力貯蔵向け蓄電池市場は2025年に5.7倍へ蓄電・発電機器(2/3 ページ)

» 2016年05月27日 13時00分 公開
[陰山遼将スマートジャパン]

住宅市場も5倍に成長

 住宅用の蓄電池市場は、2025年に2015年比で5倍の2407億円に拡大すると予測した。住宅用では非常用電源用途の他、深夜電力や太陽光発電による電力を充電して、電気料金が高い日中に利用するピークシフト用途の需要が増加傾向にある。予約段階で大量の注文を受けた米Tesla Motors社「Power Wall」などを筆頭に、住宅向けの安価な蓄電池の市場投入が進んでいる点も、今後の市場規模の拡大に寄与する見込みだ(図2)。

図2 Tesla Motorsが発表した家庭用蓄電池「Power Wall」出典:Tesla Motors

 従来、住宅用の蓄電池は、北米・中南米やアジア他の一部など、系統インフラが不安定な地域の非常用電源用途が中心だった。しかし近年は補助制度の整備も進み、ドイツや豪州、米国の一部で太陽光発電電力の自家消費サポート用途の導入が増えている。今後はドイツ、豪州、米国における太陽光発電による電力の自家消費需要の拡大、デマンドレスポンスや仮想発電所などのサービスを展開するアグリゲーション用途での需要が市場拡大をけん引するとしている。また、インドやアフリカ諸国などの系統インフラが不安定なエリアにおいては独立電源用途が広がり、堅調な需要増加が予想されるとする。

 日本では2013年に創設された「定置用リチウムイオン蓄電池導入支援事業費補助金」の後押しを受け、市場成長が続いてきた。今後は同補助金の廃止などを受け一時的に市場は停滞するが、太陽光発電余剰電力の買取制度適用終了が始まる2019年前後を契機とし、太陽光発電電力の自家消費サポート用途で需要が増加するとみられる。またZEH(ネット・ゼロ・エネルギー・ハウス)の普及、アグリゲーション用電源としての利用拡大もあり、2020年以降市場は大幅に拡大すると予測している。

 住宅用蓄電システムではPbとLiBが使用される。Pbは北米・中南米やアジア他での非常用電源用途やピークシフト用途の需要が多いが、LiBの採用拡大に伴い、需要は縮小していくとみられる。LiBは太陽光発電電力や深夜電力のピークシフト用途の採用が中心となる。2020年以降は低価格化の進展もあり、幅広い用途で採用拡大が期待され、市場は大きく伸びるとしている。

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