太陽電池モジュール出荷がついに減少、パネルメーカーの生存競争が激化太陽光(2/3 ページ)

» 2016年05月31日 09時00分 公開
[長町基スマートジャパン]

「住宅向けに粘り強く取り組む」とするパナソニック

 パナソニックの2015年度のソーラー事業の実績は、主力の住宅用太陽光発電システムの販売減などにより太陽電池の出荷は546MWで前年度比35%減と大きく減少した。2016年度については690MW、同20%増を見込んでいる。増加分は国内の住宅向けシステムのシェアを拡大するとともに、15年度ほとんど実績のなかった海外向けを2016年度は北米、インド、トルコを中心に拡販するなどで当てていく。生産面では現在ストップしている大阪府貝塚市の二色浜(にしきのはま)工場の生産を2016年度下期できるだけ早い段階で再開する方針だ(図3)。

photo 図3 パナソニックのHIT太陽電池

 津賀一宏社長は「ソーラーについては、現状を踏まえれば今後の追加投資はできない状況にある」と前置きしながらも、「国内の住宅向けについては引き続いて根強い需要がある。ゼロエミッション住宅の実現などを目指して蓄電池システムとのセット販売などにより、粘り強く取り組んでいきたい。また、マレーシアの工場からこれまでは基本的に国内に持ち帰っていたものを、日本のマーケットの縮小がみられることから、海外に仕向け先を変えていく。ただ、海外市場は特に価格の低下が著しいことから、価格が合う領域だけに絞って、黒字を維持しながら取り組む」と積極的な姿勢を見せた。

産業向け停滞も住宅向けで商品力を強化する三菱電機

 三菱電機の2015年度の太陽光発電システム事業の状況は太陽電池の出荷量も2割弱減少したこともあり、前年比33%の減収となった。同社のソーラーの用途別構成比は産業用が6割程度を占める。2016年度の見通しについては、メガソーラーは3割強の減少。住宅用・店舗用については若干の減少にとどまると予想している。

 三菱電機は国内住宅用の太陽電池モジュールの新商品として、高出力の新型太陽電池セルと屋根の形にあわせた多様な形状の組み合わせで大容量の発電を実現する単結晶無鉛はんだ太陽電池モジュール「マルチルーフ」245Wシリーズ6機種を6月に発売する。さらに、5.5kW屋外・屋内兼用マルチストリング型パワーコンディショナの市場投入およびNEC製の蓄電池の取り扱いを強化するなどの商品戦略を今期進めている(関連記事)(図4)。

photo 図4 三菱電機の太陽電池モジュール「マルチルーフ」245Wシリーズ

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