LED照明で攻め続けるアイリスオーヤマ、直販営業強化で3年で売上高2.5倍エネルギー市場最前線(2/3 ページ)

» 2016年06月14日 13時00分 公開
[長町基スマートジャパン]

拠点展開を強化、40カ所以上に

スマートジャパン このところ拠点展開や人材への投資に積極的に取り組んでいるようですが、どういう狙いがあるのでしょうか。

石田氏 営業拠点は2015年の今頃は12カ所ぐらいだったが、現在は40カ所以上に拡大した。2016年度の上半期に60カ所まで増やす予定だ。人員も現在280人ぐらいおり、そのうち140人が営業スタッフ(法人営業のみ)だ。法人ビジネスの展開に向けて、人材、営業拠点の拡大など営業力強化への投資は当社全体の中長期的な方針でもある。

スマートジャパン 照明メーカーは代理店や電材卸業者を使って営業展開していくのが主流のようですが、自前の営業拠点を構える理由はどういうものがあるのでしょうか。

石田氏 照明事業は圧倒的に新築の需要向けの電材としてのルート販売の割合が大きい。当社の場合、既築の省エネ需要をターゲットとした取り組みが中心であったため、当初は従来の電材、電工系の販売ルートはあまり意識していなかった。しかし、照明の販売実績が伸び悩む中で、電材、電工ルートの開拓についても模索を行ったことは行った。電材卸などで口座を開設し取引も始めたが、実質的な商売面で満足な条件が得られなかった。そのためこうした卸業者を使った間接的な営業ではなく、当社の強みである地域に密着した直販営業にあらためて力を置く方針を固めたという経緯がある。

 拠点展開を積極的に進めるとともに人材も新卒を大量投入するなど強化している。140人いる営業スタッフのうち70人は新卒でLED事業部に配置された社員だ。平均年齢は32〜33歳と若く、彼らが照明の知識を身に付けていけば、2020年の東京五輪前後には充実した人員体制が整うと期待している。

photo 図2 オフィス向けのLEDグリッド照明と設置イメージ 出典:アイリスオーヤマ

買収したロームのライティング事業も武器に

スマートジャパン 営業戦略も変わるのでしょうか。

石田氏 当社の照明事業は小売業の天井照明からスタートした。2016年度からは非小売業の分野へも地域密着した営業活動を展開し攻勢をかけていきたい。現在、国内に15億台あるといわれるストック需要をターゲットに、省エネやメンテナンスフリーなどのLED照明の特徴を生かして官公庁・自治体や地方の企業、施設案件の獲得を目指す。

 販売方法としては現在も全体の4割程度を占めるレンタル・リース・割賦販売プランをうまく活用していく。このプランを使うとLED照明の導入で見込める電気代の削減分を月々の分割払いの金額に設定することで、実質的に初期投資、持ち出しが不要となるので、費用的にLED照明への切り替えが楽に行える。

 照明業界では保有のストックの数をどれだけ増やすかというところも重要になってきている。フォローしていくことで次の買い替えにもつながる。われわれは2016年3月にロームグループのライティング事業を買収したが、彼らの製品をラインアップに加えることなどとともに、顧客を継承して次の交換需要につなげていくという狙いもある。

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