通信×エネルギーに勝機、仮想発電所も視野に入れ躍進する通信系施工会社エネルギー市場最前線(1/2 ページ)

通信関連の工事会社であるミライト・ホールディングスは、環境・エネルギー関連事業への取り組みを強化。2015年にはオリックスとの合弁でミライト・エックスを設立し家庭用蓄電池の施工で成長する。ミライト・エックスの代表取締役社長である柳澤繁氏に取り組みを聞いた。

» 2016年06月20日 09時00分 公開
[三島一孝スマートジャパン]

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 ミライトグループは、情報通信エンジニアリング事業などを展開してきた大明、コミューチュア、東電通の3社が共同持株会社方式による経営統合を行ったことで2010年10月に誕生した情報通信工事関連を中心とした企業である。もともとは電話関連の工事や通信関連の工事などを行ってきたが、2000年代からは携帯電話の通信基地局の工事などで成長してきた。しかし、携帯電話基地局の新たな施工などが減りつつある中で成長を維持するのが難しくなってきたこともあり、ここ数年強化しているのが環境・エネルギー関連事業である。

 こうした流れの中、オリックスとの合弁で設立したのが、ミライト・エックスだ。ミライト・エックスは、ミライトの子会社で家庭向けにインターネットの接続サポートなどを展開してきたIP テクノサービスを母体とする。同企業にオリックスが出資する形で2015年10月にミライト・エックスとして誕生した。

 住宅市場の環境エネルギーとICT(情報通信技術)を組み合わせた領域を狙うとするが、現在大きく成長しているのが、家庭用の蓄電池工事である。同社設立以降、家庭用蓄電池施工における売上高は大幅に拡大し、2014年度(2015年3月期)が3億円程度だった売上高は2015年度(2016年3月期)は58億円に拡大。2016年度(2017年3月期)は130億円まで拡大する計画だ。同社の代表取締役社長を務める柳澤繁氏に話を聞いた。

蓄電池施工は初年度で約3500件を受注

スマートジャパン 蓄電池工事が好調です。

柳澤氏 オリックスが家庭用蓄電池のリースを展開する中でその施工を請け負うことで急速に成長している。2015年度は約3500件を受注し、売上高は58億円となっている。オリックスが協力して蓄電池販売を進めているタマホーム向けの施工で伸びた。基本的には既築の一戸建てに対し、後付けの提案で成長している。

photo 柳澤繁氏 ミライト・エックス 代表取締役社長

柳澤氏 2016年度はさらに提携ハウスメーカーが8社に拡大するため、大幅に伸びると見ている。さらに太陽電池と蓄電池の組み合わせ提案なども強化していく。2016年度は案件数で8000件、130億円の売上高を目指している。住宅用の太陽光発電システムは固定価格買取制度において売電が10年は保証されているが、11年目以降は買取価格は保証されない。2019年からはこの固定価格による買取期間が終了した家庭が増えてくるため、電力の自給自足の動きが強まる見込みだ。そのため、蓄電池を設置しようという機運は急速に高まってくる。太陽電池を設置している家庭は全て潜在市場だといえる。

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