ところが問題はこれだけでは収束しない。稼働した当初から託送業務システムの性能が不十分で、処理時間が想定以上にかかっていることもデータの遅延を生じている原因の1つになっていた。東京電力は処理時間を短縮するために、複数の処理を並行で実行する対策を施すほか、ソフトウエアの見直しやハードウエアの増強も進める方針だ(図6)。
当面は需要データと発電データを期日どおりに通知することはむずかしく、7営業日までの通知を目標に事態の改善に取り組んでいく。一方で東京電力はスマートメーターの設置工事にも大幅な遅れを生じていて、この問題でも国から再三にわたって報告徴収を受けている。現在のところスマートメーターの遅延が解消するのは9月の予定だ。
託送業務システムの不具合によるデータの遅延にはスマートメーターが影響している。このため全面的な問題解決のめどを立てられるのは9月以降になってしまう。事態を深刻と見た電力・ガス取引監視等委員会は東京電力パワーグリッドに対して7月1日までに改善計画の提出を求めたうえで、月に2回の検証を実施すること、その結果を1週間以内に委員会に報告することを求めた。
この報告の終了時期は委員会が状況を見ながら決定する。電力市場のリーディングカンパニーである東京電力が引き起こした混乱は小売全面自由化から半年以上にわたって続く可能性が大きい。4月1日に発足した東京電力パワーグリッド単体の問題では済まない。全社を挙げて早期解決に取り組む必要がある。
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