小水力発電とメガソーラーが農山村を変える、下水バイオガス発電も活発エネルギー列島2016年版(9)栃木(2/3 ページ)

» 2016年06月21日 09時00分 公開
[石田雅也スマートジャパン]

ゴルフ場の跡地にメガソーラーが続々と誕生

 栃木県の北部に広がる那須高原は国内有数のリゾート地である。一帯にはゴルフ場が点在しているが、最近では閉鎖するケースが増えてきた。広大なゴルフ場の跡地をメガソーラーに転換するプロジェクトが相次いで始まっている。

 その中で最大の「KEN那須烏山太陽光発電所」は2016年4月に運転を開始した。ゴルフ場のレイアウトに合わせて太陽光パネルを設置して、発電能力は28.8MW(メガワット)に達する(図6)。年間の発電量は3500万kWhになる見込みだ。一般家庭で約1万世帯分の電力を供給できる。

図6 「KEN那須烏山太陽光発電所」の全景。出典:ケン・コーポレーション

 同じ高原地帯で2015年11月に稼働した「神奈川電力栃木太陽光発電所」も、ゴルフ場の跡地を利用した大規模なメガソーラーである。40万平方メートルを超える用地に7万7000枚の太陽光パネルを設置した(図7)。発電能力は20MWで年間に2300万kWhの発電量を想定している。

図7 「神奈川電力栃木太陽光発電所」の太陽光パネル(上)、ゴルフコースの跡地(下)。出典:オーイズミ

 このメガソーラーの近くにあるゴルフ場の跡地では、「LS那須那珂川発電所」が2016年4月に運転を開始した(図8)。発電能力は15MWだが、発電設備の構成を通常のメガソーラーから大きく変えた点に特徴がある。発電した電力を外部に供給するためのパワーコンディショナーに小型の製品を採用して、建設費を抑えながら故障時のリスクを分散させた。

図8 「LS那須那珂川発電所」の全景。出典:タカラレーベン

 合計で750台の小型パワーコンディショナー(出力20kW)を配置して電力を供給している。ゴルフ場の跡地は土地の形状がさまざまで、1カ所に設置できる太陽光パネルの枚数にばらつきが出る。小型のパワーコンディショナーを使えば、区画ごとに最適な台数を設置して効率を高めることができる。

 海に面していない栃木県の再生可能エネルギーは太陽光発電を中心に、中小水力とバイオマス発電を加えた3種類が拡大中だ。固定価格買取制度の認定を受けた太陽光発電設備の規模は全国で4位に躍進した(図9)。最近の1年間ではバイオマス発電の導入量も大きく伸びている。

図9 固定価格買取制度の認定設備(2015年11月末時点)

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