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» 2016年06月21日 13時00分 UPDATE

再生可能エネルギーの拡大策(2):風力発電の導入を法改正で加速、洋上風力も開発しやすく (1/3)

太陽光発電に次いで拡大が見込める風力発電だが、世界の主要国と比べて開発が遅れている。政府は関連する法律を改正して事業環境の改善を図り、陸上風力に加えて洋上風力の開発を促進していく。他国と比べて2倍も高い発電コストを低減しながら、メンテナンス技術の高度化にも取り組む。

[石田雅也,スマートジャパン]

第1回:「もっと増やせる太陽光発電、コスト低減と長期安定稼働で課題解決」

 欧米の先進国や中国・インドでは風力発電の導入量が太陽光発電をはるかに上回っている。これに対して日本は国土の狭さや風況の違いがあるものの、太陽光発電に比べて風力発電を実施しにくい状況にある。運転開始までに要する期間が長いうえに、法制度面の制約も多い。

 政府は風力発電の導入量を拡大するために、2017年度に改正する固定価格買取制度(FIT:Feed-In Tariff)の中で買取価格の決定方法を改善する。数年先の買取価格を事前に決めて、発電事業の収益性を判断しやすくする方針だ(図1)。それと並行して規制緩和を進めながら、運転開始後に必要なメンテナンス技術のスマート化などを通じて先進国の2倍の水準にある風力発電コストを低減させる。

図1 風力発電に関するFIT(固定価格買取制度)法改正と拡大策。出典:資源エネルギー庁

 国内で風力発電の開発を妨げている要因の1つは、運転開始までに長期間を要することにある。太陽光発電では規模の大きいメガソーラーでも2年程度で運転を開始できるのに対して、風力発電では5〜8年かかるケースが多い(図2)。発電能力が1万kW(キロワット)以上の場合には環境影響評価を実施する必要があり、建設工事に着手できるのは手続きを開始してから3〜4年後になるためだ。

図2 再生可能エネルギーによる発電設備の開発期間とプロセス(画像をクリックすると拡大)。出典:資源エネルギー庁

 風力発電は近隣地域の騒音問題のほか、鳥類の生息にも影響を及ぼすおそれがあることから、環境影響評価は欠かせない。ただし必要な調査を前倒しで実施することによって、手続き完了までの期間を半減できる可能性がある。2015年度から国が主体になって期間短縮に向けた実証事業を開始した。その成果を事業者向けのガイドとして取りまとめる(図3)。

図3 環境影響評価の期間短縮に向けた調査の前倒し実証事業(画像をクリックすると事業全体の取り組みを表示)。出典:資源エネルギー庁

 2018年度まで実証を続けながらガイドを改訂して、経済産業省が策定する「発電所に係る環境影響評価の手引き」に反映させる予定だ。環境影響評価に必要な調査を前倒しで実施できる方法を広めることによって、風力発電の環境影響評価にかかる期間を1.5〜2年に半減させる。実現すれば事業者のコスト負担が大幅に低減できるため、風力発電の開発計画を促進することは間違いない。

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