地熱資源量が世界3位と恵まれている日本だが活用率は低い。日本地熱協会と石油天然ガス・金属鉱物資源機構では「再生可能エネルギー世界展示会」に出展し、地熱活用促進に対するアピールを行った。しかし、現実的には国内では大きく拡大するのは難しい状況が続いている。
日本地熱協会(JGA)と石油天然ガス・金属鉱物資源機構(JOGMEC)は、再生可能エネルギー関連の展示会である「第11回再生可能エネルギー世界展示会 RENEWABLE ENERGY 2016」に出展し、地熱発電促進に向けたアピールを行った(図1)。
日本は地熱資源量が、米国とインドネシアに次いで世界で3番目に多いとされ、豊富な地熱発電のポテンシャルを持っているといえる。しかし、地熱発電設備容量を見てみると、これらのポテンシャル上位国が軒並み上位を占める一方で、日本はトルコやケニアよりも少ない状況となっている(図2)。
これらの状況に対しJOGMECの担当者は「日本で地熱発電が進まない理由には主に2つの面での課題がある。1つが利権関係も含む地元の理解という面、もう1つが国立・国定公園などに見られる環境面での課題という面である」と述べる。
地熱発電を行うことを考えた場合、ほとんどが温泉地の近辺ということになる。例えば、地熱発電を行うための設備により温泉が出なくなるや汚れるなどの影響を与えたとしたら、観光などのビジネスに大きなダメージを与える可能性がある。発電に使用した熱い蒸気を冷やして水に戻すために多くの水なども使用するため、水利権などの折衝も必要になる。こうした複雑に絡み合った利権などをときほぐして、地元の利害調整と理解を得ることが必要になる。
「成功している温泉地などは地熱資源量のポテンシャルは高いものの、既存ビジネスへの影響からか、理解を得ることが難しいという課題がある」と同担当者は述べている。
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