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» 2016年07月12日 06時00分 UPDATE

情報化施工:コンクリート充填状況を事前に3次元解析、材料配合や施工法を最適に

清水建設は型枠内へのバイブレータを用いたコンクリートの充填状況を、事前に3次元でシミュレーションできるシステムを開発した。コンクリートが流れにくい高密度配筋の場合でも、事前の解析を行うことで最適なコンクリート材料の配合や施工方法につなげることができるという。

[長町基,BUILT]

 清水建設はこのほど、型枠内へのコンクリートの充填(じゅうてん)状況を、バイブレータによる流動挙動評価を踏まえて事前予測する3次元シミュレーションシステムを開発した。このシステムは2012年に開発した高流動コンクリート充填シミュレーションシステムをバージョンアップし、バイブレータによるコンクリートの流動挙動の評価機能を付加したもの。高密度配筋となる高架橋などの土木構造物を中心に、3次元シミュレーションを行うことにより、最適なコンクリート材料・配合、施工方法などの組み合せを施工計画に反映することが可能になる。

 阪神大震災以降、耐震基準の改正により、土木構造物の耐久性・耐震性の向上が求められ、配筋の高密度化が進んでいる。一方、配筋の高密度化はコンクリートの充填を阻害するので、バイブレータによる締固めをしっかり行う必要がある。未充填が懸念される場合、実大の配筋・型枠を部分的に作製し、バイブレータをかけながら試験施工して充填性を確認するが、これにはコストと時間を要する。

 そこで清水建設は試験施工に頼った手法を改善するため、バイブレータによりコンクリートが液状化して鉄筋の間を流動する現象のモデル化に取り組んだ。この結果、バイブレータの径や挿入時間によって、コンクリートが流動する範囲が変わり、バイブレータから離れた位置では流動が停止するといったコンクリートの流動特性を反映したモデルを構築。コンクリートが鉄筋の間を流動しながら型枠の隅々にまで充填されていく状況を再現することに成功した(図1)。さらに、この機能を既に開発している高流動コンクリート充填シミュレーションシステムに付加し、コンクリートの充填状況を事前予測できるシミュレーションシステムを完成させた。

図1 コンクリートの充填状況。赤が流動するコンクリートで、青が流動が停止したコンクリート 出典:清水建設

 高流動コンクリート充填シミュレーションシステムは、高流動コンクリートを均一な粘性流体としてとらえ、鉄筋などの障害物によって粘性流体を構成する粒子間に生じる流速分布などから流動・流動停止を判断し、未充填箇所を予測する。型枠内でのコンクリートの流動状況をシミュレーションするだけでなく、流動が配筋密度や型枠形状によって阻害される程度を検証し、未充填箇所の発生を予測する流動解析手法だ。この解析手法は流体力学で用いられる粒子法をベースに構築したものである。

 今回バージョンアップしたシステムの使用手順は、まず、実際の型枠の形状と大きさ、鉄筋径や配筋ピッチなどの配筋状況を3次元モデル化。続いて、打設するコンクリートのスランプ(軟らかさ)などの性状を入力し、型枠へのコンクリートの打込み位置やバイブレータの挿入位置、時間、挿入間隔を任意に設定する。解析結果は動画処理されアウトプットされるので、一目でバイブレータによる締固め効果を確認できる。このシステムにより、コンクリートの材料・配合、打込み箇所、バイブレータの挿入位置・時間を変えながらシミュレーションを重ねることで、コンクリートが確実に充填される施工計画の立案が可能になる。

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