ダムや駐車場でも太陽光発電を増やせる、洋上風力の発電効率は30%超えるエネルギー列島2016年版(12)千葉(3/4 ページ)

» 2016年07月12日 09時00分 公開
[石田雅也スマートジャパン]

太陽光の電力でブルーベリーを温室栽培

 太陽光発電の導入量を拡大する手段の1つとして、発電効率の高いシステムを導入する取り組みも見られる。全国各地で太陽光発電を展開する多摩川ホールディングスが千葉県の中部で運営する「袖ケ浦メガソーラー発電所」で実施している。追尾式の太陽光発電システムを新設して、従来の固定式と比べた導入効果を検証中だ(図6)。

図6 「袖ケ浦メガソーラー発電所」の太陽光追尾システム(上)、通常の太陽光パネル(下)。出典:多摩川ホールディングス

 追尾式のシステムには1基で24枚の太陽光パネルを搭載して、発電能力は12kW(キロワット)ある。追尾式は太陽の動きに合わせてパネルの向きが自動的に変わる仕組みで、常にパネルの正面から太陽光を受けることができる。より多くの太陽光エネルギーを利用できるため、固定式と比べて発電量が20〜30%増える見込みだ。狭い敷地に太陽光パネルを数多く設置できるメリットもある。

 千葉県内では農業と太陽光発電を両立させる「ソーラーシェアリング」の分野でも実証実験が進んでいる。千葉市にあるソーラーシェアリング協会の実験場には、太陽光発電と蓄電池を組み合わせたビニールハウスがある。ハウスの屋根に細長い形状の太陽光パネルを並べて、昼間に発電した電力を蓄電池に貯めて使うことができる(図7)。

図7 太陽光発電と蓄電池を組み合わせたビニールハウス実証実験。出典:ソーラーシェアリング協会

 ビニールハウスの中ではブルーベリーを栽培中だ。1株ずつポットで栽培する方式で、水と肥料を自動的に供給する潅水(かんすい)装置を太陽光発電の電力で駆動させている。さらにハウス内部の温度を調整するための換気ファンの電源にも利用する(図8)。

図8 換気ファン(左)、自動潅水装置で栽培するブルーベリー(右)。出典:ソーラーシェアリング協会

 こうして環境にやさしい再生可能エネルギーの電力を使いながら、農作物の栽培にかかる農家の負担を軽減する狙いだ。発電した電力の売電収入を目的にしない、自家消費型のソーラーシェアリングを拡大できる余地は大きい。

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