千葉県の再生可能エネルギーは太陽光を筆頭に、風力・中小水力・バイオマスの導入量も増えてきた。固定価格買取制度の認定を受けた発電設備の規模は全国で第6位に入る(図9)。すべての発電設備が稼働すれば、県内の総世帯数(250万世帯)の半分以上が利用する電力を供給できるようになる。
すでに稼働した太陽光発電設備の中では、東京湾に近い丘陵に広がる「グリーンパワー富津(ふっつ)太陽光発電所」が最も大きい。52万平方メートルの土地に、関東で最大級の42MWの発電設備を建設した(図10)。2016年2月に運転を開始して、年間に1万2000世帯分の電力を供給できる見込みだ。
風力発電では全国に先がけたプロジェクトが沖合の洋上で2013年から始まっている。NEDO(新エネルギー・産業技術総合開発機構)と東京電力が近海に洋上風力発電を拡大するために取り組んでいる実証研究である。発電設備を海底に固定する着床式を日本で初めて採用した。
千葉県の東の端にある銚子市の沖合3キロメートルの洋上に、2.4MWの風力発電設備と風況観測タワーがある(図11)。このあたりの水深は12メートルと浅めなことから、着床式の洋上風力発電設備に適している。水深が50メートルを超えると、発電設備を海底に固定しない浮体式で建設する必要が出てくる。
銚子沖の実証研究設備では毎日の発電量と風況の観測を続けている。NEDOが公開した研究報告によると、風況観測タワーの80メートル地点(風車の中心部と同じ高さ)で計測した2013年の平均風速は7.5メートル/秒だった(図12)。洋上風力発電は平均風速が7メートル/秒を超えれば十分な発電量を見込める。
実際に発電を開始してからの1年間では718万kWhの発電量を記録した。1基の大型風車で2000世帯分の電力を洋上から供給できることになる。年間の設備利用率(発電能力に対する実際の発電量)は32.4%に達して、洋上風力の標準値30%を上回っている。この一帯が洋上風力発電の有望な海域であることを示す実証結果だ。
2015年版(12)千葉:「山にメガソーラー、街で水力とバイオマス、海では風力と波力も有望」
2014年版(12)千葉:「東京湾岸にメガソーラーが続々誕生、砂利採取場も最終処分場も発電で稼ぐ」
2013年版(12)千葉:「洋上風力とメガソーラーが東京近郊に、大規模なバイオマス発電所も加わる」
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.