停止中の「柏崎刈羽原発」では何が行われているのかエネルギー管理(3/4 ページ)

» 2016年07月29日 09時00分 公開
[陰山遼将スマートジャパン]

そびえたつ防潮壁

 福島第一原発の事故の主因となったのは津波である。地震の影響で発生した津波によって、非常用の発電機などが機能しなくなり、核燃料から発生する熱を冷やすことができないという事態につながった。これを受け柏崎刈羽原発では、2013年に防潮壁を建設している(図8)。

図8 建設した防潮壁。約1キロメートルにわたって建設されている(クリックで拡大)

 防潮壁の頂部は、海抜15メートルの高さに位置する。厚さは最大で3メートルで、20〜50メートルの長さを持つ3本の基礎杭で固定している。静水圧の3倍まで機能を維持できる設計だという。さらにこの防潮壁を乗り越えた場合も想定し、タービン建屋や原子炉建屋には水密扉や防潮板を設置して浸水を防ぐ構造になっている(図9)。

図9 浸水対策のイメージ

電源・冷却を多様化

 仮に浸水を防いでも、福島第一原発の事故のように全電源を失った状態になれば、燃料を冷却することができない。そこで柏崎刈羽原発では、非常用電源や注水・冷却手段の多様化を進めている。プラント本来の非常用電源が使えなくなった場合を想定して緊急用高圧配電盤を設置し、空冷式ガスタービン発電機車や電源車を配備した(図10)。

図10 空冷式ガスタービン発電機車。各原子炉ごとに複数台配置されている(クリックで拡大)

 注水・冷却手段としては40台以上の消防車を配備。さらに敷地内には注水に利用する水を確保するための2トンの貯水池を整備。これは高台に位置しており、電源なしで注水作業を行えるようにしている。

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