鉛電池で出力変動を吸収、風力発電を安定運用自然エネルギー

秋田県能代市の地元企業が出資して設立した風の松原自然エネルギーは、出力3万9100kWの風力発電所の建設を進めている。日立化成はこの発電所に鉛蓄電池を納入した。風況の変化による発電の出力変動を吸収して電力の安定化に貢献する。

» 2016年08月01日 13時00分 公開
[長町基スマートジャパン]
図1 風力発電事業の実施区域。出典:風の松原自然エネルギー

 日立化成は、秋田県能代市に建設中の「風の松原風力発電所」で使用する出力変動緩和制御型風力発電システム向けに、制御弁式据置鉛蓄電池「LL1500-W」を納入した(図1)。出力3万9100kW(キロワット)の風の松原風力発電所は、2016年12月より運転を開始する。

 秋田県の日本海沿岸は風況条件が良く、数多くの風力発電所が建設されている。中でも能代市は、再生可能エネルギーの導入を積極的に推進している。風の松原自然エネルギー(能代市)は、秋田県の地元企業である大森建設を中心とした9社と能代市の出資で設立され、現在、出力2300kWの風力発電設備17基から構成される風の松原風力発電所の建設を進めている。この発電所は、平常時は東北地域の電力系統に、災害による停電時には、公共の防災拠点施設などへ電力を供給することを計画している。

 日立化成は、このほど日立パワーソリューションズ(茨城県日立市)が、風の松原風力発電所に納める出力変動緩和制御型風力発電システム用の蓄電池としてLL1500-Wを納入した(図2)。同蓄電池は、充放電を繰り返すという特徴をもつサイクル用途専用仕様の長寿命鉛蓄電池で、風況の変化による発電の出力変動を吸収して電力の安定化に貢献する。

図2 納入した鉛蓄電池 出典:日立化成

 なお、同蓄電システムは経済産業省の「平成26年度補正予算 再生可能エネルギー接続保留緊急対応補助金(再生可能エネルギー発電事業者のための蓄電システム導入支援事業)」の適用を受けている(補助金の交付先は風の松原自然エネルギー)。同蓄電システムの一部として今回納入するLL1500-Wは、電池容量約24.1MWh(キロワット時)で、日立化成が国内で風力発電所向けに納入した鉛蓄電池の中で最大規模という。

 日立化成は、日本国内外での再生可能エネルギー普及を促進するために、電力系統安定化装置向けの鉛蓄電池について、今後も、性能・品質・導入コスト面でより競争力のある新製品の開発を続けていく方針だ。

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