木質バイオマスへの切り替えで8000トンのCO2を削減、環境配慮型建材工場へ自然エネルギー

大手建材メーカーの大建工業は、岡山工場において環境負荷低減に向け木質バイオマスボイラーを増設し、このほど稼働を開始した。LNGボイラーからの切り替えにより温室効果ガスの排出量を年間8000トン削減するという。

» 2016年08月05日 15時00分 公開
[長町基スマートジャパン]

 大手建材メーカーの大建工業(大阪市北区)が、2015年5月から岡山工場(岡山市南区)で進めていた建設廃材由来の木材チップを燃料とする木質バイオマスボイラーの増設工事が完了し、このほど稼働した。工事は省エネルギー、温室効果ガス(CO2)排出量削減などの環境負荷低減を目的としたもので、投資額は約14億円。それまで使用していたLNG(天然ガス)ボイラーから木質バイオマスボイラーに切り替えることにより、温室効果ガスの排出量を年間8000トン削減することを見込んでいる(図1)。

photo 図1 大建工業が岡山工場に増設した木質バイオマスボイラー 出典:大建工業

 大建工業は、建設廃材やスラグウールなどの再生資源や、火山灰などの未利用資源を有効活用した製品の提供と、これらの製品を生産する過程での環境負荷低減の両立を目指した事業活動を、グループ全社挙げて取り組んでいる。特に同社最大規模の岡山工場では、乾燥工程の熱源用蒸気を発生させているボイラーのエネルギー消費量が多いことから、これまで温室効果ガスの排出量削減を図るための取り組みとして燃料転換を進めてきた。

 まず2006年に2基ある重油ボイラーのうち1基をLNGへと燃料転換し、2006年度の温室効果ガス排出量は、2005年度の11万4000トンから年間約1万2000トンを削減。翌2007年には木質バイオマスボイラーを新設し、残る1基の重油ボイラーの使用を停止することで、さらに温室効果ガスの排出量を年間約2万トン削減した。

 そして今回、LNGボイラーを木質バイオマスボイラーに切り替えることにより、岡山工場での蒸気による乾燥工程に供するエネルギー源を全て再生可能エネルギー(木質バイオマスエネルギー)へ転換が完了した。これにより温室効果ガスの排出量を年間8000トン削減することが見込まれ、2006年からの一連の取り組みにより、合計で年間約4万トンの温室効果ガスの排出量削減を予想している。

 岡山工場の敷地面積は25万3000平方メートル。従業員は約400人。木質繊維板(インシュレーションボード)鉱物質繊維板(ダイロートン)火山性ガラス質複層板(ダイライト)畳おもて(機械すき和紙畳)などを製造する。

 なお、今回の岡山工場での木質バイオマスボイラー増設により、国内グループ工場全体での温室効果ガス排出量については、2015年度比で年間7%の削減効果が、また、国内グループ工場全体のエネルギー使用量(原油換算値)に占める再生可能エネルギーの比率は、2015年度実績42%から47%に高まることを見込む。

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