震災から5年間の電力需要、全国で10%縮小するも地域で開きエネルギー管理(2/3 ページ)

» 2016年08月08日 09時00分 公開
[石田雅也スマートジャパン]

東京の最大需要が400万kWも上昇

 最新の2015年度の月別の需要を見ると、地域によって傾向に違いがある(図4)。沖縄では前年度と比べて夏の需要は減ったものの、秋から春にかけて需要が増えたために、年間の需要電力量が震災前よりも増加する結果になった。1年を通じて気温が高めで、冷房需要を押し上げた。

図4 地域・月別の需要電力量(2015年度、画像をクリックすると拡大)。出典:電力広域的運営推進機関

 一方で北海道は年間を通じて需要が減少した。冬の2月を除いて毎月の需要が減っていて、高めの気温と電気料金の値上げが主な要因だ。関西では夏の8月に前年を上回ったものの、そのほかの11カ月は前年を下回った。全国の需要を合計しても、8月だけが前年から0.8%増加した以外は減少している(図5)。特に12月は暖冬の影響が大きく出て8.8%も需要が減った。

図5 全国の月別の需要電力量(2015年度、画像をクリックすると拡大)。出典:電力広域的運営推進機関

 同様の傾向は月ごとのピークを示す最大需要にも表れている。2015年の12月は全国の最大需要が前年から13.6%も縮小した(図6)。ただし1月と4月、6〜8月の合計5カ月間は前年よりも最大需要が拡大している。夏のピークは上昇傾向にあることがわかる。

図6 地域・月別の最大需要電力(2015年度、画像をクリックすると拡大)。出典:電力広域的運営推進機関

 たとえば東京の最大需要は震災直後の2011年度に5179万kW(キロワット)だったのに対して、2015年度は5587万kWまで上昇した(図7)。その差は408万kWもある。とはいえ震災前の2010年度と比べれば666万kWも減っているため、需給状況に支障をきたすレベルではない。

図7 地域・年度別の最大需要電力(画像をクリックすると拡大)。出典:電力広域的運営推進機関

 東北でも震災後に一貫して最大需要が増える一方、北海道は減り続けている。北海道は冬に最大需要が発生することも理由の1つだ。そのほかの地域では関西と四国の最大需要が減少傾向にある。残る中部・北陸・中国・九州・沖縄の最大需要は震災後の5年間で大きく変化してない。

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