続く第2ステップ(STEP2)は2030年までの10年間を対象に、水素サプライチェーンを広域に拡大する。第1ステップで取り組んだ実証事業の結果をふまえて、風力・小水力・バイオガスで作った水素の地産地消モデルを各地域に展開していく(図5)。大消費地の都市部に定置式の水素ステーションを増やすのと同時に、水素を貯蔵して遠隔地まで輸送するシステムの構築も進める予定だ。
北海道には地域ごとに再生可能エネルギーが分布している。西側の日本海沿岸は海からの強い風を利用できる風力発電、一方の東側に広がる太平洋・オホーツク海沿岸は日射量が多くて太陽光発電に適している(図6)。酪農や林業が盛んな東部ではバイオマス、さらに内陸の山間部を中心に地熱と小水力発電の資源も豊富にある。それぞれの地域の特性に合わせて、再生可能エネルギーから作った水素を地産地消するモデルを展開できる。
北海道庁の調査によると、道内で1年間に製造可能な水素の量は北海道全体のエネルギー消費量と比べて最大で2倍程度を見込める。水素の製造が各地域で活発に始まれば、消費しきれない水素が大量に余る可能性がある。2030年からの第3ステップ(STEP3)では、道内の全域に水素サプライチェーンを構築するのと合わせて、道外にも水素を供給できる広域の輸送システムを完成させる(図7)。
こうして3つのステップを通じて、水素の製造から貯蔵・輸送・利用までの拡大策を官民連携で実施していく構想だ(図8)。ロードマップどおりに水素サプライチェーンを構築できると、北海道が日本の水素エネルギーをけん引する形になって、新たな産業で経済を発展させる期待が持てる。
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