規制価格と市場価格、スペインはダブルスタンダードが残る電力自由化、先行国はこう動いた(2)(5/5 ページ)

» 2016年08月29日 09時00分 公開
[グザビエ・ピノン/セレクトラスマートジャパン]
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スペインでのエネルギー料金比較と契約の現状

 スペインにはいくつかのエネルギー価格比較会社が存在している。例えば、業界ナンバーワンの「comparadorluz.com」(各国でエネルギー料金比較サービスを提供するセレクトラ社のスペイン向けサービス)はそのうちの1つである。スペインの人々は通常、何か特別な機会がない限り特にエネルギー(電気・ガス)価格の比較をしない国民性ではあるが、少しずつ自発的にエネルギー料金の比較をする流れも生まれてきている。

  • エネルギー小売り業者は、PVPC料金により近い価格を設定し、その価格からさらに契約容量、また消費量によって割引するような電気料金システムを提供している
  • スペインではほとんどの需要家は電気もしくはガスの契約を、電話かもしくは地元の営業所に行って行っている。しかしながら、最近は多くの電力会社がオンラインでの契約にのみ有効な「特別割引」を行っているため、今後はさらにインターネット経由での契約が増えていくと考えられる

スペイン、エネルギー市場の今後

 まず長期的な計画として、2018年12月31日までに全てのアナログメーターをデジタルメーターに変えるというミッションが電力会社に課せられている。結果として、現在PVPCで電気料金を支払っている消費者が毎時間ごとに異なる電気料金システムで請求に切り替えわるようになるだろう。スマートメーターが広く導入され「毎時間ごとの料金システム」が完全に規制料金市場に浸透するのは時間の問題だろう。

 「時間ごとの電気料金システム」を搭載したこの規制料金体制ははまだ続いていくと予想している。同時に、自由市場における電力供給者は価格を微調整し、より良い価格と割引を提供することで時間ごとの電気料金に対抗しようと試みていくべきである。

連載「電力自由化、先行国はこう動いた」の目次

筆者プロフィル

グザビエ・ピノン(Xavier Pinon) セレクトラ(selectra)共同創業者・代表

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 パリ政治学院・コロンビア大学にて修士号。東京大学に留学経験を持つ。戦略コンサルタント業務に従事したのち、在学中に立ち上げた電気・ガス料金比較サービス会社セレクトラの業務に本格的に携わり、同社をヨーロッパ最大手に成長させる。現在フランスを中心に欧州7か国でサービスを展開、欧州での経験をもとに2016年5月に日本(セレクトラ・ジャパン:http://selectra.jp/)でのサービスを開始。


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