地熱発電でも高効率に、蒸気と熱水を組み合わせて16万kWの電力自然エネルギー(2/2 ページ)

» 2016年09月15日 11時00分 公開
[石田雅也スマートジャパン]
前のページへ 1|2       

トルコは日本に次いで世界10位の導入量

 世界各国の中で地熱資源が豊富にある地域は限られている。再生可能エネルギーの導入を推進する国際的な非営利組織のREN21(Renewable Energy policy Network for the 21st century)の集計によると、2014年末の時点で全世界の地熱発電の導入量は1280万kWだった。このうち約3割を米国が占める(図3)。

図3 世界上位10カ国の地熱発電の導入量。棒グラフの上の部分は2014年の新設分、下は2013年末の累計。単位:メガワット(1000キロワット)。出典:REN21

 次いで導入量が多いのはフィリピン、インドネシアの順で、日本は約50万kWの導入量で第9位である。日本は地熱の資源量では米国とインドネシアに続いて第3位だが、地熱資源の大半が自然公園の中にあるため、規制によって開発が遅れているのが現状だ。一方で途上国を中心に地熱発電所の新規開発が進んでいる。2014年の導入量は1位がアフリカのケニアで約36万kW、2位がトルコで約11万kWだった。

 NEDO(新エネルギー・産業技術総合開発機構)の予測では、2050年までに全世界の地熱発電の導入量は加速度的に増えていく。2050年には累計で2億kWに拡大して、2010年と比べて約10倍の規模になる見通しだ(図4)。年間の発電量は1兆4000億kWh(キロワット時)にのぼり、日本の電力会社10社の総発電量(約9000億kWh)の1.5倍に匹敵する。

図4 世界の地熱発電の導入量予測。GW:ギガワット(100万キロワット)、EGS:高温岩体地熱発電。出典:NEDO

 2050年の時点では地熱発電の3割がフラッシュ方式、2割がバイナリー方式で、残りの5割はEGS(Enhanced Geothermal System、高温岩体地熱発電)になる予測だ。EGSは地中にある高温の岩盤に割れ目を作って、水を注入しながら蒸気を抽出して発電する。現在はコストの高さが難点だが、欧米を中心に開発プロジェクトが進んでいる。

前のページへ 1|2       

Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.