見えない欠陥を可視化する、サーモグラフィ検査の利点:太陽光発電所のトラブル対策(2)(4/4 ページ)
モジュールの部分的な異常発熱であり、発電量の低下を招く可能性もある「ホットスポット」を検証する場合には、現場で取得したデータをソフトウェアで分析することが不可欠である。下記の画像(図9)に、サーモグラフィによる現場での視認画像と、分析後の画像を比較したものを示す。
図9 サーモグラフィ検査による現場での視認画像(左)と分析後の画像(右) 出典:アドラーソラーワークス
この例において、現場の視認画像のみではセル単体の発熱と認識されがちだが、実際に分析するとバスバーが発熱していることがわかる。以上のように本件はバスバーの剥離(はくり)によって温度分布の異常が起きていたわけだが、メーカーとの交換交渉などでは、このように詳細かつ具体的なデータを提供した方が交渉がスムーズに進む場合が多い。
サーモグラフィ検査は太陽光発電設備における発電量への影響のみならず、電気的な安全性の確認に大きく寄与する検査であり、点検で毎回実施するべき項目といえるだろう。なお、次回の連載ではIVカーブ測定について解説する予定だ。
- 目視で見つけるトラブルの火種
今後ますます重要になっていく太陽光発電所の運用保守。しかし、具体的にどのような点に着目して取り組めば良いのだろうか。本連載では日本で太陽光発電所の運用保守事業を手掛けるアドラーソーラーワークスが、実際の事例を交えながらそのポイントを紹介していく。第1回は目視検査のポイントを解説する。
- 太陽光発電所を襲う「見えない傷」、現場で見つけて発電量を守る
アドラーソーラーワークスは「PV Japan2016」に出展し、「PVテストカー」を用いた太陽光モジュール検査など、同社の発電設備の運用保守サービスを紹介した。
- 不良施工はFIT認定取り消しか、太陽光発電設備の安全規制強化
経済産業省は事故などが増えている太陽光発電設備の規制を強化する方針だ。報告義務の強化や、FIT認定取り消しなども含んだ対策に乗り出していく。
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