改善する作業の1つは、新型のスマートメーターで計測する30分ごとの使用量データの補正である。家庭などに設置したスマートメーターで計量したデータは通信ネットワークを通じて東京電力PGの託送業務システムに送られるが、システムの不具合によってデータに欠損が生じる場合がある(図4)。
その欠損データを自動的に補完するシステムを10月末に稼働させて、人手による作業を削減する予定だ(図5)。もう1つの作業は旧式のメーターと新型のスマートメーターで毎月の使用量を確定する日が異なるにもかかわらず、託送業務システムの内部で両者を混同するケースが発生している。メーターの種類を正しく認識できないためである。
これまでメーターの違いによるデータの不整合を人手で修正してきたが、システムで補正できるように12月中に改修する。2種類の作業をシステムで処理できるようになれば、遅延の問題は大幅に解消できる見込みだ。ただし東京電力PGは託送業務システムの不具合を完全に改修できる見通しを明らかにしていない。恒久対策としながらも、年内に実施する対策は暫定的な措置の可能性もある。
本来は需要家ごとの使用量のデータを小売電気事業者に通知する期限は検針から4営業日以内が原則になっている。東京電力PGは7営業日から4営業日以内に短縮する対策を引き続き検討中だ。追加の対策が必要だとすると、託送業務システムに何らかの不具合が残ったままになることが想定できる。
東京電力PGはシステムの不具合を抱えながら、一方では毎月の使用量を確定できない問題に関して小売電気事業者と協議を続けている。最新の10月5日の時点では、4〜9月分の使用量に関して合計で9513件の協議が必要になっている(図6)。このうち小売電気事業者と合意して使用量(協定値)を確定できた件数は3084件である。
前回の報告では9月20日の時点で協議対象件数8221件に対して、協定値を確定できた件数は2862件だった。約2週間で協議対象件数が1292件も増える一方、協定値を確定できた件数は222件にとどまっている。現状では12月分まで協議対象件数が増え続ける見通しで、使用量を確定できない問題は年を越すことがほぼ確実である。
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