京都市が地球温暖化対策の1つとして取り組んできたプロジェクトとして、廃棄物からバイオガスを生成する実証研究がある。家庭が排出したゴミから一部を発酵させて、発電用の燃料になるバイオガスを作る試みだ(図5)。
この実証研究の成果をもとに、ゴミ処理工場を新設してバイオガス発電を実施する計画が進んでいる。市内に3カ所あるゴミ処理施設の中で最大の「南部クリーンセンター」の構内に第二工場を建設中だ(図6)。既設の第一工場に代わって、環境配慮型のゴミ処理施設として2019年度に稼働する予定になっている。
新設する第二工場には、ゴミの焼却熱を利用して蒸気で発電する設備を導入する。加えてバイオガスを燃料に利用できる発電設備を併設して、再生可能エネルギーの電力を最大限に作り出す計画だ。発電能力は焼却熱で1万4000kW、バイオガスで1000kWになる。それぞれ年間の発電量は8950万kWhと830万kWhを想定していて、合わせて2万7000世帯分の電力を供給できる。
新工場では市内各地から運ばれてきた生ゴミを選別して、バイオガスを生成するメタン発酵槽に取り込む流れになる(図7)。そのほかのゴミは焼却して熱を発電に利用する。メタン発酵槽から取り出したバイオガスは精製してからガスエンジン発電機に送り込む仕組みだ。
2つの方式で発電した電力は工場内で消費した後の余剰分を売電する。バイオガスで発電した電力は固定価格買取制度を通じて高い価格で売電できるメリットがある。売電収入を増やしてゴミ処理工場の運転維持費を軽減するのと同時に、再生可能エネルギーによる発電でCO2排出量を削減できる。
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