風力・水力・バイオマス発電が拡大、合計8万kW超が1カ月で運転開始自然エネルギー(2/2 ページ)

» 2016年10月18日 11時00分 公開
[石田雅也スマートジャパン]
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バイオマス発電は「一般木材」が拡大

 全国各地で新たに運転を開始した再生可能エネルギーの発電設備は立地を生かしたものが多い。風力発電では島根県の日本海に近い山岳地帯に「ウインドファーム浜田」が稼働した。浜田市の東西に連なる山の尾根に、合計29基の大型風車が並ぶ(図3)。

図3 「ウインドファーム浜田」の全景。出典:SBエナジー、三井物産

 発電能力は1基あたり1670kWで、29基を合わせて4万8400kWになる。年間の発電量は8500万kWhを見込んでいて、一般家庭の使用量(年間3600kWh)に換算すると2万3600世帯分に相当する。浜田市の総世帯数(2万6700世帯)の約9割に匹敵する規模である。

 同じ島根県内には日本で最大の「ユーラス新出雲ウインドファーム」(7万8000kW)が運転中で、ウインドファーム浜田は中国地方で2番目の規模の風力発電所になった。この一帯には年間を通して日本海から強い風が吹きつけるため、風力発電を実施するのに適している。

 バイオマス発電では三重県の多気町(たきちょう)で「多気バイオパワー」が6月に運転を開始した(図4)。内陸部にある工業団地の一角に建設した発電所だ。地域で発生する製材端材や間伐材を燃料に使って発電する。発電能力は6700kWで、年間に5000万kWhの電力を供給できる。1万4000世帯分に相当する電力量になり、多気町の総世帯数(5600世帯)の2.5倍に匹敵する。

図4 「多気バイオパワー」の全景。出典:中部プラントサービス

 熊本県の荒尾市でも同規模のバイオマス発電所が運転を開始している。地元の企業3社が設立した「有明グリーンエネルギー」が内陸部の工業団地に建設した。発電能力は6250kWで、多気バイオパワーと同様に製材端材や間伐材を燃料に使う。

 製材工場から排出する端材は固定価格買取制度では「一般木材」に分類する。発電した電力の買取価格は1kWhあたり24円で、間伐材などの「未利用木材」の32円と比べると割安になる(図5)。その代わりに木材の調達価格が安くて供給量も多い。最近は一般木材を燃料に利用するバイオマス発電所の建設プロジェクトが全国各地で増えている。

図5 バイオマス発電による電力の買取価格(2016年度)。出典:資源エネルギー庁

 このほかに長野県の生坂村(いくさかむら)では、発電能力が2万1200kWの水力発電所が6月に固定価格買取制度の認定を受けて運転を開始した。町内には日本海まで続く犀川(さいがわ)が流れていて、古くから東京電力の水力発電所が稼働している。新たに買取制度の対象になった発電所の詳細は不明だが、1964年に運転を開始した東京電力の「生坂発電所」(2万1000kW)と同規模の発電能力である。

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