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» 2016年10月19日 15時00分 UPDATE

電力自由化で勝者になるための条件(21):ノウハウが重要な需給管理システム、ベンダー選定は実績とコストで

電力の小売業務に欠かすことができない需給管理システムには、運用体制を含めて特殊なノウハウが必要になる。需要と供給の計画策定から実績管理まで、新規参入の事業者にとってハードルは高い。需給管理システムの導入は業務ノウハウとコストの両面を考慮してベンダーを選定すべきである。

[平松 昌/エネルギービジネスコンサルタント,スマートジャパン]

連載第20回:「電力顧客管理システムの選び方、自社導入か共同利用か」

 需給管理システムは専門性が高く、導入しただけでは業務はこなせない。初期の立ち上げ支援を含めて、導入から運用まで全体の仕組みを検討することが重要である。

 システムの提供方式は2通りに分かれる。自社で導入するオンプレミス型と、複数の事業者が共同で利用するクラウドサービス型である。導入形態によってコストも大きく変わってくる。高圧の小売事業を手がけてきた大手の事業者が採用している1億円以上の高額なシステムから、月額で数10万円レベルの安価な仕組みまである(図1)。

図1 需給管理システムの選定傾向。SI:システムインテグレータ、BPO:ビジネスプロセスアウトソーシング、BG:バランシンググループ、IDC:インターネットデータセンター、JEPX:日本卸電力取引所

 ただし汎用的に使える顧客管理システムを提供するベンダーが20社近く存在するのに対して、需給管理システムのベンダーは10社以下に限られる。長年にわたって蓄積した需給管理のノウハウに基づいてシステムを構築する必要があるためだ。特に需給管理で重要な「計画値同時同量」をはじめ、電力市場の新たな制度に対応できるノウハウを保有しているかどうかが、ベンダーを選定するうえで重要な判断材料になる。

 新たに電力小売に参入する事業者にとっては、業務面・コスト面で需給管理のハードルは高い。外部に委託する、あるいはBG(バランシンググループ)に入る、といった選択肢をとる事業者も多い。

 スモールスタートの場合には、供給計画や市場取引などの自動連携を行わずに、需要予測の作成や速報値の取り込みによるバランス監視だけを安価に構築する方式もある。それでも中長期に電力事業の継続を目指すのであれば、ノウハウを蓄積する観点からも、最終的には自社で需給管理システムを運用できる体制を保有すべきと考える。

 ベンダーを選定するうえで重要なポイントは、業務ノウハウを十分に保有しているかどうかである。需給管理の業務を熟知した人材が希少な点を考えると、ベンダーの企業規模の大小で判断せずに、業務の立ち上げを確実に支援できるかどうかで選ぶべきである。

連載第22回:「電力小売システムはコストに大きな違い、ITベンダーから導入する場合の注意点」


著者プロフィール

平松 昌(ひらまつ まさる)

エネルギービジネスコンサルタント/ITコスト削減コンサルタント。外資系コンピュータベンダーやベンチャー事業支援会社、電力会社の情報システム子会社を経て、エネルギービジネスコンサルタントとして活動中。30年間にわたるIT業界の経験を生かしてITコスト削減支援および電力自由化における新電力事業支援を手がける。Blue Ocean Creative Partners代表


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