高原に集まったベンチャー企業が電力の小売へ、森のエネルギーを地産地消電力供給サービス(2/2 ページ)

» 2016年10月24日 07時00分 公開
[石田雅也スマートジャパン]
前のページへ 1|2       

高原の日射量が発電量を増やす

 電力の小売事業に乗り出した3社は東京に本社があるベンチャー企業で、人材を拡充するために富士見町のシェアオフィスに拠点を広げた。3社のうち「elDesign」は2014年に設立して、地域エネルギー事業の立ち上げ支援サービスを提供している(図3)。電力の小売事業に必要な電源調達や需給管理の代行も請け負う。

図3 地域エネルギー事業のイメージ。FIT:固定価格買取制度、PPA:電力販売契約。出典:elDesign

 そのほかの2社は「デジタルワレット」と「プライムスタイル」で、IT(情報技術)を活用した決済サービスやWebシステムの開発事業を手がけている。3社の技術やノウハウを組み合わせて、電力の小売事業を中核に新しい地域サービスを展開していく計画だ。

 一方で富士見町は2012年に第3セクター方式で「富士見メガソーラー」を設立して太陽光発電事業を進めてきた。2013年11月には発電能力が2MW(メガワット)の発電所の運転を開始している(図4)。

図4 「富士見メガソーラー太陽光発電所」の全景。出典:富士見メガソーラー

 富士見町がある長野県の南部は全国でも有数の日射量が豊富な地域だ。メガソーラーの発電量は2015年度に328万kWh(キロワット時)に達した。設備利用率(発電能力に対する実際の発電量)は18.7%になり、国内の標準値13%を大きく上回っている。

 この発電量は一般家庭の使用量(年間3600kWh)に換算して910世帯分に相当する。富士見町の総世帯数(5900世帯)の15%をカバーする電力になる。固定価格買取制度による売電収入は2015年度に1億3100万円にのぼった。富士見町には6400万円の収入が入り、町の財政の改善に生かせる。

 富士見町は再生可能エネルギー事業とテレワークタウン計画の両輪で地方創生に取り組んでいく。

前のページへ 1|2       

Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.