火力発電タービンから断熱窓まで高性能に、省エネ技術開発テーマを採択省エネ機器(2/2 ページ)

» 2016年10月26日 11時00分 公開
[陰山遼将スマートジャパン]
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火力発電タービンを高性能化

 実用化開発フェーズとしては5件が採択された。1つがティエムファクトリが京都大学、YKK APと共同で実施するこれまで断熱材が適用できなかった窓に実装できるペアガラスの開発だ。既に超軽量かつ透明な断熱材エアロゲルの低コスト化に成功しており、今回は実用化に向け残る技術課題の解決を目的とした研究開発を進める計画だ。この新しいペアガラスを実用化でき、市場に流通している断熱窓および非断熱窓と置き換えれば、それぞれ43%、75%の空調消費エネルギーを削減できる見込みとしている(図2)。

図2 開発するペアガラスのイメージ 出典:NEDO

 三菱日立パワーシステムズは東京工業大学と共同で、火力発電設備の高効率化に貢献すする三次元金属積層部材用の高強度超合金の開発に取り組む。アディティブ・マニュファクチュアリング(AM)という金属粉末などを積層して最終製品を製造する新手法がある。従来は難しかった形状を実現でき、ガスタービンの効率化や高温化が図れる可能性があるといったメリットが見込めるものの、従来の精密鋳造材と同等の強度特性をもつ金属粉末が無いことが課題だった。そこで最適な合金を開発を目指し、ガスタービンの効率化およびさらなる効率化に貢献する狙いだ。発電用ガスタービンへ高強度AM開発材を適用することで、2024年に1.9万kL/年、2030年に5.8万kL/年の省エネ効果が見込めるとしている。

 この他、アイシン精機と豊田自動織機はがより高効率なガスヒートポンプエアコン(GHP)、積水化学工業がパナソニックなどと共同で省エネルギー型の廃水処理システム、オークマ、DMG森精機、ファナック、東京大学、日本工作機械工業会など14者が炭素繊維強化樹脂(CFRP)などの次世代材料を適用できる工作機械の開発をに取り組む計画だ。また、1件採択された実証開発フェーズでは、日本電気が立命館大学と共同でFPGAの省電力化に向けた技術開発を実施する。

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