2017年度に開始する太陽光発電の入札制度、買取価格の低減へ自然エネルギー(2/3 ページ)

» 2016年10月26日 09時00分 公開
[石田雅也スマートジャパン]

入札の対象は年間に多くて数十件

 入札の対象になる発電設備の区分はほぼ決まっている。発電能力が2000kW(2メガワット)以上の大規模な太陽光発電設備だけを対象に実施する。2015年度には2000kW以上の太陽光発電設備で買取制度の認定を受けた件数は81件あった(図4)。2016年度の認定件数も4〜6月の3カ月間に20件あり、年間では80件程度に増える見通しだ。

図4 事業用(非住宅)の太陽光発電設備の認定容量・件数。出典:資源エネルギー庁

 入札制度は2017年度以降に認定を受ける発電設備が対象になる。政府は買取価格を低減するために入札制度を実施するため、入札の上限価格を現行の買取価格(24円)よりも低く設定する可能性が大きい。そうなると入札に参加する発電事業者は少数に限られるだろう。

 資源エネルギー庁の調査では、2000kW以上の太陽光発電設備のシステム費用は過去4年間でほとんど低下していない(図5)。このほかに発電コストに影響する運転維持費の低減や設備利用率(発電能力に対する実際の発電量)の向上を織り込んでも、コストを引き下げられる余地は小さい。入札制度で買取価格が低下することを前提に、大規模な太陽光発電事業を計画する事業者がどれくらい出てくるかは未知数だ。

図5 事業用の太陽光発電設備のシステム費用(運転開始年による平均値)。出典:資源エネルギー庁

 実際の買取価格は入札結果によって決まる。先行して入札制度を開始した海外の主要国では、2通りの価格決定方法を採用している。1つは事業者が応札した価格の中から低い順に確定していく「ペイ・アズ・ビッド(pay-as-bid)」で、日本でもこの方式を採用する案が有力だ。もう1つは全体の入札結果から共通の買取価格を決める「ユニフォーム・プライシング(uniform pricing)」である。

 入札を実施するには、価格決定方式を含めて詳細な要件を決める必要がある。現行の買取制度では調達期間を20年に設定しているが、同じ条件を適用するのか。ほかにも認定取得から運転開始までの期限や超過した場合の措置などを盛り込む予定だ(図6)。

図6 入札制度を開始するまでに決定すべき事項。出典:資源エネルギー庁

 太陽光パネルメーカーなどが加盟する太陽光発電協会では、数多くの事業者が入札制度に参加できるように諸条件の緩和を政府に要望している。特に重要な点は募集する容量の規模である。太陽光発電の導入にブレーキがかからないように、十分な募集容量を設定するように提案した。すでに数回にわたって入札を実施したドイツやフランスの例を見ると、募集する容量を増やしても落札価格は下がっている。

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