入札制度をとりまとめる資源エネルギー庁は海外の先行事例をもとに、効果的な実施方法を策定する方針だ。太陽光発電の導入量が世界で最も多いドイツでは2015年に入札制度を導入した。入札対象は発電能力が100kW〜10MW(メガワット)の地上設置型の太陽光発電設備で、地方自治体の建設許可に関する条件などを加えている(図7)。
このほかにも落札してから18カ月以上を経過して運転を開始した場合には調達価格を引き下げ、24カ月以上になると権利を失効する措置が入っている。2017年からは入札対象の発電設備を750kW以上に引き上げて対象範囲を狭める予定だ。750kW未満の中小規模の太陽光発電設備は通常の固定価格買取制度の対象になる。
ドイツでは2015年4月から2016年8月までに合計5回の入札を実施した。1回あたり最大で200MWを募集して、募集容量の2倍以上の応札を得ている(図8)。落札価格は回を追うごとに下がり、直近の第5回には7.23ユーロセント(約8円)まで低下した。落札価格の決定方式は5回のうち3回がペイ・アズ・ビッドで、2回はユニフォーム・プライシングを採用している。
隣国のフランスでは先行して2012年2月から2015年6月まで3回の入札を実施した。対象は250kW〜12MWの太陽光発電設備で、1回あたりの募集容量はドイツよりも多い400MWである(図9)。さらに第3回目は募集容量を後から1100MWに増やして規模を拡大した。
フランスでは落札価格の決定方式にペイ・アズ・ビッドをベースにした総合評価方式を採用している。価格の低さだけではなく、環境影響評価や実現可能性も加えて審査する。落札価格は直近の第3回が最も低くて8.2〜12.9ユーロセント(約9〜14円)だった。ただし固定価格買取制度で設定した買取価格(6.45ユーロセント)を上回っている。
こうして見ると入札制度が必ずしも買取価格の低下にはつながらない。ドイツとフランスは上限価格を高めに設定して多くの事業者を集めているが、日本ではどの程度の水準に設定するのか。募集容量と上限価格の設定は極めてむずかしい判断になる。最初の2年間を試行期間に位置づけて、試行錯誤が必要だろう。入札制度が太陽光発電の導入量を適正に拡大する有効な策になるかどうか現時点では見通せない。
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