家庭用の燃料電池の伸びが加速、年間5万台の販売台数に蓄電・発電機器(2/2 ページ)

» 2016年10月28日 13時00分 公開
[石田雅也スマートジャパン]
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余剰電力の買取サービスも始まる

 その一方でガス会社と機器メーカーは製品のバリエーションを増やして、導入対象になる家庭の範囲を拡大している。典型的な例がマンション向けのエネファームだ。東京ガスとパナソニックが2016年7月に発売したPEFC方式の製品では3つのタイプを用意した。燃料電池の本体と貯湯ユニットを分離できるタイプや、排気パイプを延長できるタイプがある(図4)。マンションの住戸のレイアウトに合わせて選べるようにした。

図4 マンション向けのエネファーム。貯湯ユニット一体型(左)、分離型(中)、分離型・排気延長タイプ(右)。出典:東京ガス、パナソニック

 大阪ガスが機器メーカー3社と共同で開発したSOFC方式の新製品もマンションに設置できる。2016年4月に発売した「エネファームtype S」は発電ユニットを小型化したうえで、バックアップ用の熱源機を分離した(図5)。マンションのバルコニーにも設置しやすくなり、既設のガス給湯器と組み合わせて使うことも可能だ。

図5 SOFC方式の「エネファームtype S」。発電ユニット(左)と熱源機(右)。出典:大阪ガス

 さらにエネファームで発電した電力を買い取るサービスも4月に開始した。通常の使用方法では家庭で必要な電力に合わせて発電量を調整するが、常に発電能力の上限まで電力を作ることによってエネファームの効率を高める。ガスの使用量が増える代わりに、余った電力を大阪ガスが買い取る(図6)。家庭では売電収入がガス料金の増加分を上回り、結果として光熱費を削減できる。

図6 余剰電力の買取サービス(上)、通常の使用方法との違い(下)。出典:大阪ガス

 2017年4月にガスの小売全面自由化が始まると、競争によってガス料金が下がることは確実だ。そうなるとエネファームの利用効果が高まる。同時に電力会社が家庭向けにガスの小売を開始して、エネファームの販売にも力を入れていく。2017年度から販売台数の増加にはずみがつく可能性は大きい。

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