工業化で生産性向上、人材不足に備えた中高層用ビルシステム省エネビル

旭化成ホームズは商業用途が想定される4〜6階建てをメインターゲットとした中高層用ビルディングシステムを開発した。工業化により戸建てと同様に自社グループで施工できるようにした。

» 2016年11月01日 06時00分 公開
[長町基BUILT]

 旭化成ホームズは、上層階での店舗・事務所など商業用途が想定される4〜6階建てをメインターゲットとした中高層用ビルディングシステム「ヘーベルビルズシステム」を新たに開発したと発表した。2016年11月から一部エリア(東京および周辺部)で先行販売を開始する。

 今回、同社がこれまで販売してきたヘーベルハウス フレックスを支える「システムラーメン構造」の基幹技術や生産・施工方法を継承しながらも、各階の階高を2.8〜3.5mの範囲で設定可能として商業用途にも対応するなど進化させ、品質と精度を確保しながら自由度を高めて8階建てまでの建築を可能とした。

 また、ヘーベルハウス同様に、外壁のALCコンクリート「ヘーベル」の取り付けには、地震時の変形に対する追従性の高い独自のロッキング工法を用い、振動抑制装置や制震装置も用意した。さらに、基礎工事も工業化するなど現場工程を極力単純化し、工業化が進んでいない中高層建築市場において高品質で高効率な施工の実現を目指している。  

 利便性が高く利用価値の高い都市部商業系地域では、敷地の高度活用ニーズから概ね4階建て以上の中小規模の中高層建築が多く存在する。この規模の建築は、大手ゼネコンが携わるには規模が小さく、一般の工務店などによる在来工法のRC造か鉄骨造が大部分を占める。しかし、在来工法のRC造や鉄骨造の建築は、東京オリンピックに向けた建築工事の増加や職人の高齢化などに伴い、労務単価の上昇や熟練技能者の不足が懸念されており、今後この分野での工業化の役割はますます大きくなっていくと見込まれている。

 同社は、1986年にヘーベルハウス フレックスを発売。フレックスの躯体は、5階建て以下の住宅用途(自宅、賃貸住宅)および1階に店舗などを併設する住宅を想定し、特に3階建て・4階建て市場では高い供給実績を残してきた。このフレックスで開発された「システムラーメン構造」の技術は、それまでは在来工法に頼らざるを得なかった鉄骨(ラーメン)造の建築物を工業化し、短工期・低価格・安定品質を実現した(図1)。

図1 「ヘーベルビルシステム」の概要 出典:旭化成

 今回の新躯体開発では、長年にわたり実績を積んできたシステムラーメン構造の基幹技術(構法・施工方法など)を中高層建築用のラーメン構造として進化させた。各階の階高を2.8〜3.5mの範囲で設定可能とすることで、複雑な配管を収められる最大700mmの天井裏懐やスラブ上配管スペースを確保できるなど、従来の躯体システムでは1階のみに限定していた店舗・事務所の設置を上層階でも可能にした。さらに、基幹技術を進化させたことにより、施工の大部分をゼネコンなど外部の建設業者に頼らず同社グループ(旭化成住宅建設)で施工可能とした。これにより建設業界での職人不足が懸念される中でも自前の施工力による高い品質の確保や長期的なコストダウンにも取り組むことができるようなになる。

 同社ではモデルルームを錦糸町住宅公園(東京都墨田区)に2017年3月(予定)に完成し、販売を進める。さらに、へーベルビルズシステムおよび従来システムそれぞれの特徴を生かして中高層受注を強化し、2020年度には4階建て以上の受注全体で500億円を目指す。

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