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» 2016年11月14日 11時00分 UPDATE

電力供給サービス:送電線の火災事故の原因は「地絡」、ケーブルの接続部分で大電流が発生か (2/2)

[石田雅也,スマートジャパン]
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4本のケーブルは火災で絶縁破壊に

 火災現場の送電ケーブルは合計18本で6つの回線を構成している。このうち事故の発生源になったとみられる城北線3番の黒相のほかに、4カ所でも絶縁状態が破壊されていた(図4)。停止中だった1回線を除いて、5つの回線すべてに分散して絶縁破壊が起こっている。

図4 ケーブルの配置と絶縁破壊の発生状況。出典:東京電力パワーグリッド

 ただし4カ所はケーブルの接続部分ではなくて、接続部分から出たケーブル本体が溶けていた(図5)。同じ洞道の中を通っている送電ケーブルのうち4回線で連続して絶縁破壊が生じる可能性は火災以外では極めて低いため、4カ所の絶縁破壊は火災が原因と推定できる。

図5 絶縁破壊の発生箇所(画像をクリックすると拡大)。出典:東京電力パワーグリッド

 4カ所のうち「北武蔵野線1番黒相」の破損状況を見ると、ケーブルの導体の周囲に巻かれた絶縁紙が黒く焦げていて、内側の導体も一部が溶けている(図6)。そのほかの3カ所も同様の状況で、火災によってケーブルの外側から燃えたことをうかがわせる。

図6 「北武蔵野線1番黒相」のケーブル部分の破損状況。出典:東京電力パワーグリッド

 ここで大きな問題が1つある。火災が原因で絶縁破壊を起こしたとみられる4カ所の中で、低い位置にある「城北線1番」には防災対策を実施していた(図7)。東京電力が古いタイプのOFケーブルを対象に2002年度から進めてきた対策で、ケーブルの周囲を防災シートでカバーしている。なぜ1回線だけ防災対策を実施したのかは不明だが、いずれにしても火災による破損を防ぐことはできなかった。早急に防災対策の見直しが必要だ。

図7 「城北線1番」の防災対策。出典:東京電力パワーグリッド

 東京電力PGは火災事故の発生元になった可能性が大きい城北線3番黒相ケーブルの解体調査を実施するほか、ケーブルの絶縁紙の性能についてもサンプリング調査を実施する。その結果をもとに、東京電力管内で類似の状況が想定される地点のケーブルや接続部分を対象に、X線による内部構造の確認を含めて同様の調査を実施する予定だ。一連の調査に基づいて十分な対策が急がれる。

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