石炭火力の副産物で環境改善、中国電力の新設備が稼働エネルギー管理(1/2 ページ)

電力会社各社は石炭火力発電所から副産物として排出される石炭灰の再利用に取り組んでいる。中国電力はこのほど島根県の三隅発電所内に、石炭灰を原料とする環境改善材の製造設備を新設。水質改善などの効果があり、公共土木事業に利用されているもので、製造能力を増強して石炭灰の再利用率を高める。

» 2016年11月16日 09時00分 公開
[陰山遼将スマートジャパン]

 中国電力は2016年11月11日、島根県浜田市の石炭火力「三隅発電所」において、石炭灰を再利用した環境改良材「Hiビーズ」の製造を開始したと発表した(図1)。これまで山口県山陽小野田市で製造・販売を行ってきたが、設備更新や物流改善を目的に拠点を移設した。生産能力も増強し、石炭灰の効率的な再利用を図る。

図1 「三隅発電所」の外観。出力は100万kWで、中国電力の重要なベース電源となっている 出典:中国電力

 石炭を燃料に発電を行う火力発電所では、副産物として石炭灰が発生する。この石炭灰は産業廃棄物であり、再利用あるいは適切な処分が義務付けられている。中国電力の2015年度の実績では、年間63.6万トンの石炭灰が発生している。

 同社の販売するHiビーズはこの石炭灰を再利用したもので、少量のセメントと水を加えて10〜20ミリメートルの大きさに造粒した商品。2000年から販売しており、地盤や水質環境の改善材として土木事業などに利用されているという(図2)。

図2 「Hiビーズ」 出典:中国電力

 今回、Hiビーズの生産能力向上や、製造後の物流改善に向け、新たに三隅発電所内の約1万4000平方メートルの敷地内に、原料貯蔵設備、製品加工設備、製品貯蔵ヤードなどを設置した(図3)。工事は2015年2月から開始し、2016年9月に完了。同年11月11日から本格的に製造を開始した。

図3 製造設備の設置位置(クリックで拡大)出典:中国電力
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