鳥取県では冬になると日本海から冷たい北風が吹きつけて、毎年平均で30cm(センチメートル)程度の積雪がある。このため太陽光パネルを高めに設置する施工法が標準的になってきた。
地元の鳥取ガスが鳥取市内に建設した「東郷太陽光発電所」では、太陽光パネルを50cm以上の高さに設置して地面に積もる雪の影響を防いでいる(図3)。パネルの設置角度は15度だ。2016年10月に運転を開始したところで、発電能力は2.3MWある。
年間の発電量は257万kWhを見込んでいて、全量を「とっとり市民電力」に売電する。鳥取市と鳥取ガスが共同出資で設立した小売電気事業者で、2016年4月から周辺地域の企業や自治体を対象に電力の小売を開始した。12月から家庭向けに「とりガス電気」の販売も開始する。全国に広がってきた再生可能エネルギーの電力を地産地消する取り組みの1つだ。
鳥取県の企業局が2016年2月に運転を開始した「境港中野太陽光発電所」でも、太陽光パネルを地面から50cm以上の高さに設置している(図4)。パネルの角度は20度で、設置枚数は合計4840枚にのぼる。発電能力は1MWになり、年間に130万kWhの電力を供給できる。海の近くにあった水産高校のグラウンドの跡地をメガソーラーに転用した。
このほかにも太陽光発電に適した用地が県内に数多く残っている。公共工事で発生する大量の残土を受け入れた事業の跡地だ。山間部の窪地などに残土を盛って平地にする事業で、鳥取県内だけで40カ所以上もある。平坦になった跡地は宅地や工場用地のほかに、太陽光発電所の建設地にも適している。
県西部の米子市にある残土受入事業の跡地には、「いちご米子泉ECO発電所」が2016年1月に運転を開始した。6万平方メートルを超える広さの用地に1万枚の太陽光パネルを設置した(図5)。発電能力は2.6MWに達して、年間に290万kWhの電力を供給できる。
こうした残土受入地を活用した太陽光発電の先駆けになったのが、北栄町で2011年11月に完成した「北栄高千穂太陽光発電所」である。農地と林に囲まれた2万平方メートルを超える用地の半分程度を利用して、約3000枚の太陽光パネルを設置した(図6)。発電能力は0.75MWで、年間の発電量は200世帯分の使用量に相当する74万kWhになる。
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