下水熱利用に新ジャンル、消毒槽の熱で空調を省エネに自然エネルギー(2/2 ページ)

» 2016年11月22日 07時00分 公開
[陰山遼将スマートジャパン]
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滋賀県が秘める下水熱のポテンシャル

 実証では下水熱利用ヒートポンプの性能評価と、熱回収性能の向上に向けた検討評価を行う。実証は2018年3月末まで実施する予定だ。積水化学によると、下水と気温との差の熱エネルギーを冷暖房や給湯などに利用すると、通常の空気熱源ヒートポンプシステムと比較して約20〜30%の省エネおよびCO2排出削減効果が期待できるとしている。

 滋賀県全体でも、こうした下水熱の有効活用に向けた取り組みを推進している。琵琶湖から多く下水道が広がっており、熱源として高いポテンシャルが期待できるからだ。2016年3月には民間事業者などの下水熱の導入検討を支援するために、下水熱の賦存量やマンホールなどの位置を示した「琵琶湖流域下水道 下水熱ポテンシャルマップ」を公表している。このポテンシャルマップによると、今回の実証を行う大津市付近の下水道では、冬季でも1日当たり10〜50万メガジュール(MJ)のポテンシャルが見込めるとしている(図4)。

図4 大津市が位置する湖西地区における下水熱のポテンシャルマップ(クリックで拡大)出典:滋賀県

 大津市、積水化学、関西電力の3者はこうした下水熱の有効利用に向けて、共同研究体制も構築。下水熱利用の可能性調査や事業スキーム、料金設定などのありかたについても検討を進めていく予定だ。今回の実証事業はこうした取り組みの一環となる。共同研究についても、実証と同様に2018年3月末まで取り組む予定だ。

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