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» 2016年12月01日 06時00分 UPDATE

情報化施工:加速するインフラ点検ロボット開発、NEDOが早期実用化へ

ダムや橋梁など国内のインフラの老朽化が課題となる中で、ロボットの活用による点検作業の効率化が注目されている。NEDOプロジェクトで橋梁近接目視点検支援ロボットの開発を進める、イクシスリサーチは神奈川県での実証に続き、新たに埼玉県内の橋梁での実証実験に着手する。こうした実証を重ね、早期の実用化を目指す。

[長町基,BUILT]

 新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)のプロジェクトでロボット開発を進めるイクシスリサーチは2016年12月2日、埼玉県さいたま市内の秋ヶ瀬橋で、同社が開発した橋梁点検用ロボットの実証実験を行う。ロボット産業の振興を図る埼玉県の取り組みの一環として実施されるもの。ロボットが桁下を移動しながら桁の撮影と画像処理を行うことで、道路橋点検の支援を行う技術の有効性を検証する。NEDOはでは、これらの取り組みを通じて、インフラ維持管理におけるロボットの社会実装に向けた取り組みを加速させる。

 橋梁やトンネルなどの社会インフラは、今後、建設から50年を経過するものが増加し、それらの老朽化に対応するための十分な資金と高度な維持管理の専門知識を有する人材不足が、大きな問題となっている。こうした中、NEDOでは2014年度から「インフラ維持管理・更新等の社会課題対応システム開発プロジェクト」で、橋梁やトンネルなど既存インフラの状態に応じた効果的かつ効率的な維持管理・更新を図る取り組みとして、インフラ構造物に対して人間の立ち入りが困難な箇所へ移動し、維持管理に必要な情報を取得するロボットの研究開発を推進している。

 同プロジェクトでは、イクシスリサーチが、富士フイルムおよび首都高速道路技術センターと共同で、橋梁点検用のステレオカメラ(複眼式撮像装置)を搭載した橋梁近接目視点検支援ロボットを開発している。このロボットは、橋の鋼桁下(こうけたした)フランジ(I型鋼桁の下側の水平フランジ部分)を移動しながら鋼桁を撮影し、撮影画像を画像処理して近接目視点検および点検調書を作成支援することができる。既に神奈川県内などで、複数の実証を重ねている(図1)。

図1 実証で利用する橋梁近接目視点検支援ロボット(クリックで拡大)出典:NEDO

 今回の実証実験では、主桁吊下げ型目視点検ロボットが桁下を移動し、桁の撮影および画像処理を行うことで損傷を検出し、近接目視を主体とする点検の支援が可能かなど実用化に向けた検証を行う。また実験結果について、橋梁点検を数多く実施している複数の点検業者から、使いやすさやデータに関する客観的評価なども提案する予定であり、これらの結果も踏まえ、同ロボットの改良を継続し、早期の実用化を目指す考えだ。

 同ロボットが今後活用されることにより、従来の橋梁点検のための高架下への足場の設置や、高所作業車または橋梁点検車の使用に伴うコスト高を削減するとともに、橋上の交通規制を最小限にすることで、橋梁維持管理の効率化が期待できる。

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