全国10地域の電気料金に加算する燃料費調整単価は、電力会社が化石燃料の輸入価格をもとに月ごとに算定して公表する。最新の2017年1月分の単価は前月から平均0.06円のプラスになった。化石燃料の輸入価格が上昇局面にあるためだが、1年前と比べるとまだ1.74円も低い水準だ。
2017年1月分の電気料金に加算する燃料費調整単価は北海道を除く9地域で前月よりも上昇した(図1)。最も大きく上げたのは中部の0.17円で、次いで東京の0.11円である。火力発電のうちLNG(液化天然ガス)を燃料に利用する比率の高い電力会社の上げ幅が大きくなっている。
全国10地域を平均すると0.06円の上昇で、標準家庭の電気料金を計算すると月額16円の微増にとどまる。ただしLNGの輸入価格が7月から上昇傾向を続けているうえに、ドル高・円安の動きが進んでいるため、今後さらに燃料費調整単価は上昇していく見通しだ(図2)。
電力会社は3〜5カ月前の輸入価格の水準をもとに、燃料費調整単価を算定することになっている。2017年1月分の燃料費調整単価には2016年8月〜10月の3カ月間の平均輸入価格を反映する。各地域の電力会社が前回に電気料金を値上げした時に想定した基準燃料価格と比較して、差額分を電気料金に上乗せして調整する仕組みだ(図3)。
3〜5カ月前の平均輸入価格が基準燃料価格よりも高ければ燃料費調整単価はプラスになり、逆に低ければマイナスになる。東日本大震災後に多くの電力会社が電気料金を値上げしたが、その後に燃料の輸入価格が下落したため、各地域の燃料費調整単価は現時点でマイナスになっている。燃料費調整単価は電力会社以外の小売電気事業者から電力を購入する場合にも地域ごとに上乗せする。
火力発電の燃料のうち石炭の輸入価格は安定しているが、LNGと原油は国際情勢などで大きく変動する。LNGの輸入価格は2015年の後半から下落が始まり、原油は2014年の後半から下落が続いていた。これを反映して燃料費調整単価も2016年に入って一貫して下がり続けた。2017年1月分と2016年1月分を比べると、全国平均で1.74円も下がっている(図4)。
ところが2016年10月分を底に上昇傾向が始まった。その3カ月前の7月からLNGの輸入価格が上昇に転じたためだ。電力会社10社の電源構成を見ると、2015年度にはLNGを燃料に利用する火力発電が44%を占めて最も多い(図5)。LNGの輸入価格の変動が燃料費調整単価に大きな影響を与える構造になっている。一方で石油火力は9%まで減少していて、原油の輸入価格が変動しても燃料費調整単価に与える影響は小さい。
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