えひめ産の太陽光パネルを無償で設置、原子力の立地県で電力の地産地消に挑む電力供給サービス(2/2 ページ)

» 2016年12月09日 11時00分 公開
[石田雅也スマートジャパン]
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2030年に再エネ100%の電力供給を目指す

 坊ちゃん電力が目指すのは、「えひめ産」の太陽光パネルを使って再生可能エネルギーの電力を地産地消することにある。現在は小売で販売する電力のうち10%程度が太陽光発電で、残りは電力会社による常時バックアップに加えて卸電力市場から調達している(図4)。これを2030年には再生可能エネルギー100%に転換する計画で、他社の発電所を含めて再生可能エネルギーの買取量を拡大していく方針だ。

図4 坊ちゃん電力の電源構成。BU:常時バックアップ、JEPX:日本卸電力取引所。出典:坊ちゃん電力

 愛媛県内では四国電力が原子力発電の「伊方発電所3号機」を2016年8月に再稼働させた。九州電力の「川内原子力発電所」に続いて全国で2カ所目の再稼働だが、県外を含めて周辺地域の住民のあいだには不安の声が根強い。

 坊ちゃん電力は電気料金の単価を四国電力よりも低く抑えて需要家の拡大中だ。一般的な住宅向けの「坊ちゃんプラン」は最低料金と2段階の電力量料金を組み合わせたシンプルな体系で、四国電力の標準プラン(従量電灯A)よりも単価を安く設定した(図5)。オール電化住宅向けにも四国電力と比べて安価なプランを提供している。

図5 坊ちゃん電力の住宅向け電気料金プラン。出典:坊ちゃん電力

 2016年4月に電力の小売を開始して、11月末までに約4000世帯の契約を獲得した。このうち6割は愛媛県内で、2割は四国の他県、さらに東京電力・関西電力の管内にも小売を拡大して全体の2割を占める。ただし太陽光発電のフリーソーラープロジェクトを導入した家庭は愛媛県内でもまだ少数にとどまっている。

 坊ちゃん電力はフリーソーラープロジェクトの導入件数を2016年度内に250件まで増やしたうえで、2017年度には1000〜1200件に拡大させる計画だ。当面は愛媛県を中心に四国電力の管内が対象になるが、瀬戸内海を越えて中国電力の管内に展開することも検討している。

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