プロ野球の中日ドラゴンズの本拠地「ナゴヤドーム」で太陽光発電設備が完成した。シート型の太陽電池1152枚を屋根に設置して、年間に17世帯分の電力を供給できる。太陽光で発電した電力によるCO2削減効果は、ナゴヤドームの敷地面積と同程度の広さの森林が吸収する量に匹敵する。
2016年の中日ドラゴンズは最下位の成績に終わったが、本拠地の「ナゴヤドーム」では世界で初めての太陽光発電プロジェクトが進んでいた。円形のドーム球場を覆う広い屋根に、シート型の太陽電池を設置して発電する試みだ(図1)。2年半の工事を経て12月14日に、ドーム球場の屋根に世界初の太陽光発電設備が完成した。
シート型の太陽電池は樹脂製のシートの上に、結晶構造を持たないアモルファス(非晶質)シリコンを並べたものだ。アモルファスシリコンは太陽光を受けて電気を発生する半導体を膜状に形成できる特徴がある。この点を生かして太陽電池を軽量で柔軟性のあるシート型に製造できる(図2)。
ナゴヤドームで採用した太陽電池シートは1枚で61ワットの発電能力がある。合計で1152枚の太陽電池シートをドームの屋根に設置した。全体の発電能力は70キロワットになって、年間に6万2000kWh(キロワット時)の電力を供給できる。一般家庭の使用量(3600kWh)に換算して17世帯分に相当する。
ドームの屋根で実施する太陽光発電によるCO2(二酸化炭素)の削減効果は、森林の面積に換算すると9万1000平方メートルになる。ナゴヤドームの敷地面積(10万4000平方メートル)とほぼ同じ広さの森林が吸収するCO2に匹敵する(図3)。ナゴヤドームでは屋根の中央部分から自然光を採り入れて照明の使用量を削減するなどの省エネに取り組んできた。屋根を利用した太陽光発電も地球温暖化対策の一環だ。
ナゴヤドームは地上67メートルの高さがある(図4)。採光する中央部分を除いた屋根の上半分(高さ31〜57メートル)に太陽電池シートを設置した。ドームを使わない日を利用して設置工事を進めたため、2014年6月の着工から完成まで2年半を要した。
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