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» 2016年12月20日 11時00分 UPDATE

電力供給サービス:地中送電線の火災事故を防止する対策、2020年のオリンピックまでに完了へ (1/2)

東京電力の地中送電線で2016年10月に発生した火災事故の原因究明と再発防止策の進捗が明らかになった。火災現場の送電ケーブルを搬出して調査を進める一方、劣化の可能性があるケーブルの緊急点検を実施中だ。古いケーブルの張替工事を進めながら2020年3月までに防災対策を完了させる。

[石田雅也,スマートジャパン]

既報(11月14日):「送電線の火災事故の原因は地絡、ケーブルの接続部分で大電流が発生か」

 東京電力パワーグリッド(東京電力PG)は埼玉県内の地下送電線で10月に発生した火災事故の調査結果と対策について、最新の進捗状況を経済産業省に報告した。火災が発生した「新座洞道(にいざとうどう)」の26番(略称:新洞26)の現場から送電ケーブルを搬出して詳細調査を実施したほか、管内に大量に残る同種のケーブルの緊急点検や防災対策の実施計画をとりまとめた(図1)。

図1 「新座洞道火災事故」の発生状況(画像をクリックすると拡大)。出典:東京電力パワーグリッド

 すでに火災の発生原因については「地絡」によるものだったことが確認できている。「新洞26」の送電ケーブルの接続部分から、地面に向けて瞬間的に大きな電流が生じる地絡が発生して火災を引き起こした。

 地絡が発生した送電ケーブルの接続部分を詳細に調査した結果、ケーブルの内部にある導体に地絡の発生を示す溶融痕を確認できた(図2)。このほかにも周辺の銅線や銅管の内側に溶融痕とみられる箇所が見つかっている。接続部分の絶縁状態が破壊されて、電流が流れる導体から地絡が発生して金属が溶けた可能性が大きい

図2 送電ケーブル接続部分の詳細調査結果(画像をクリックすると拡大)。出典:東京電力パワーグリッド

 東京電力PGは絶縁破壊の発生原因を究明するために、新座洞道内の別の場所にある送電ケーブルの接続部分を解体して調査中だ(図3)。ケーブルの周囲に巻かれている絶縁紙の状態も調べて、2017年3月までに調査結果を取りまとめる。

図3 送電ケーブル接続部分の解体調査対象(画像をクリックすると拡大)。出典:東京電力パワーグリッド

 この解体調査と並行して、管内の全域にある地中送電ケーブルの緊急点検を急ぐ。火災が発生した送電ケーブルは古いタイプの「OF(Oil-Filled)ケーブル」で、導体の内側に絶縁用の油を流す構造になっている(図4)。

図4 「OFケーブル」の構造。出典:東京電力パワーグリッド

 絶縁油が正常に機能しないと地絡を発生させる可能性があるため、OFケーブルを設置している4603カ所を対象に点検を実施する。特に劣化の懸念がある19カ所を最優先に点検したのに続いて、防災対策を実施していない374カ所の点検を2017年6月までに完了させる予定だ。4603カ所すべての点検を完了するのは2019年10月になる(図5)。

図5 緊急点検の進捗状況(画像をクリックすると拡大)。出典:東京電力パワーグリッド
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