農林業を発展させるメガソーラー、町が認定して3万8000世帯分の電力自然エネルギー(1/2 ページ)

岩手県の農山村で巨大なメガソーラーの建設プロジェクトが始まった。2019年に運転を開始して年間に3万8000世帯分の電力を供給する計画だ。農林業を健全に発展させるため、自治体が再生可能エネルギーの導入区域を決めて発電事業を認定した。売電収入の一部をCO2削減と雇用創出に生かす。

» 2016年12月21日 07時00分 公開
[石田雅也スマートジャパン]
図1 軽米町の位置。出典:軽米町役場

 メガソーラーを建設する場所は、岩手県の北部に広がる軽米町(かるまいまち)にある(図1)。「雑穀の里」をキャッチフレーズに、アワやヒエなどの雑穀を無農薬で生産する典型的な農山村だ。2015年3月に「軽米町再生可能エネルギー発電の促進による農山漁村活性化計画」を策定して、荒廃した農地や林地を対象に再生可能エネルギーの導入を推進している。

 計画の中で町が設定した6カ所の区域のうち、隣接する2つの区域で巨大なメガソーラーの建設プロジェクトが動き出した。全国各地に再生可能エネルギーの発電設備を展開するレノバが中心になって、「軽米東ソーラー発電所」と「軽米西ソーラー発電所」を建設する計画だ(図2)。

図2 「軽米東ソーラー・西ソーラー発電所」の完成イメージ。出典:レノバ

 2つの区域を合わせた敷地面積は450万平方メートルに及ぶ。発電能力は東ソーラーが81MW(メガワット)で、西ソーラーが48MWに達する。合計で129MWのメガソーラーは東北で最大の「ユーラス六ヶ所ソーラーパーク」(青森県六ケ所村)の148MWに次ぐ規模になる。

 年間の発電量は東ソーラーが8700万kWh(キロワット時)、西ソーラーが5000万kWhを見込んでいる。両方を合わせると一般家庭の使用量(年間3600kWh)に換算して3万8000世帯分に匹敵する。軽米町の総世帯数(3300世帯)の10倍を上回る電力を供給できる。

 すでに西ソーラーの工事は2016年5月に始まり、2019年7月の稼働を予定している。東ソーラーも12月中に着工して、2019年12月に運転を開始する予定だ。2カ所のメガソーラーは個別の発電事業に限定した匿名組合方式の合同会社が建設・運営する。レノバのほかに三菱・三井住友・芙蓉グループの各リース会社が出資している。

 レノバは太陽光発電を中心に再生可能エネルギーの発電設備を全国に展開中だ。千葉県で40MWのメガソーラーを2014年に運転開始するなど、合わせて162MWの発電設備を運営している(図3)。軽米町の2カ所が稼働すると291MWに拡大する。

図3 レノバが運営する再生可能エネルギー発電設備(画像をクリックすると拡大)。出典:レノバ
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