数字で見る電力業界3分で分かるこれからの電力業界(3)(2/3 ページ)

» 2016年12月22日 09時00分 公開
[江田健二スマートジャパン]

電力販売ランキング(既存10電力)

 電力小売の全面自由化が始まるまで、日本においては10電力事業者(北海道、東北、東京、中部、北陸、関西、中国、四国、九州、沖縄)が家庭向けの電力を販売していました。法人向けに関しても非常に高い存在感を持ち、日本全体における電力需要で見ると、約95%を10電力会社がまかなっています(2015年度)。ここでは、こうした日本の電力需要を支える10電力会社について、販売量や、その販売量と電力自由化との関連を見ておきましょう。

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 電力の販売量が最も多いのは東京電力です。次に関西、中部と続きます。一方で、販売量が最も少ないのは沖縄電力です。人口や産業が集中している地域の電力需要が大きくなる傾向にあるため、こうしたランキングとなります。

 新電力会社にしてみても、やはり電力販売量の多い地域が魅力的であるため、そうした地域に事業進出の数が多い傾向にあります。そのため、東京などの首都圏地域の需要家は電力会社切り替えに際しては選り取りみどりであるのに対し、沖縄電力管内などの電力需要が少ない地域では、選択肢が非常に限られます。

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 市場規模で見ると、2016年4月から解放された家庭部門は8兆円市場と言われますが、そのうちの3兆円近くは東京電力管内です。沖縄電力管内は、わずか1500億円ほどしかありません。ただ、市場規模の大きい地域は競合も多数いるため、競争に勝ち抜く必要が出てきます。そうした競争を避けることや、地域活性化などの観点から、あえて電力需要の少ない地域で事業展開する新電力会社も多数存在します。

電力販売ランキング(新電力)

 新電力企業においては、15年間近く「エネット」という企業が電力販売量のトップを維持しており、高圧部門が自由化された初期のころから新電力の発展をけん引してきたリーディングカンパニーと言えます。

 2016年3月の電力販売量を見ると、エネットの次に「F-Power」が続きます。F-Powerは、日本初のESCO事業(顧客の光熱水費などの経費削減を支援するビジネス)を行う会社「ファーストエスコ」の電力ビジネス事業を会社分割により承継して誕生した企業です。電気料金の単価が卸電力市場に連動して毎月変動する「市場連動型電力料金メニュー」など、顧客ニーズに合わせて商品開発をしています。

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 2015年3月以降から2016年3月までの1年間で、新規で高圧・特別高圧の販売を開始した新電力は、65社です。その65社の中では、「王子・伊藤忠エネクス電力販売」の電力販売量がトップです。

 ただ、王子・伊藤忠エネクス電力販売は、直近1年間で台頭した新電力としてはトップの販売量ですが、全体で見ると19位であり、エネットと比較すると約26倍もの開きがあります。

 このように、“老舗新電力”とも呼べるような既存の新電力の存在感がまだまだ強い一方、2015年度と比較すると2016年度は、電力小売全面自由化の期待もあり、新規参入企業数も1年間で2倍近くになり着実に勢力を伸ばしています。

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