全世帯の「50%」を風力発電で、ベルギーの挑戦自然エネルギー(2/4 ページ)

» 2016年12月22日 13時00分 公開
[畑陽一郎スマートジャパン]

原子力と火力から風力へ

 ベルギーの風力発電は約10年をかけて現在の規模にまで成長した。ベルギーは原子力と火力を組み合わせた発電方式に頼ってきた。なぜなら国内にはエネルギー資源が乏しく、電力需要は旺盛だからだ。

 ベルギーの国土は日本の約10分の1に相当する(約3.1万平方km、km2)。だが、人口も約10分の1(約1100万人)に達しており、人口密度は日本よりも高い。さらに工業国でもあり、経済規模は日本の約10分の1だ。

 図2から分かるように夜間に宇宙空間から観測すると、ベルギーの国土全域が光り輝いている。隣接国にあるような暗い部分がほとんどない。

図2 人工衛星から観測した夜間のヨーロッパ ベルギーの国土の位置を水色の枠で大まかに示した 出典:NASAの撮影画像を当誌が編集

原子力と火力からの転換を目指す

 1993年当時、ベルギーの総発電量は698億kWh。これを原子力で60%、火力で約40%をまかなっていた。2014年には、原子力の比率は37%、火力は32%まで低下した(図3)*5)

*5) ベルギーは電力輸入量が世界第6位と大きい。しかしながら、ベルギーは国民1人当たりの太陽光発電導入量がドイツ、イタリアに次いで世界第3位。バイオ燃料の生産量では世界第14位に位置しており、風力以外の再生可能エネルギーの開発にも注力している。

図3 ベルギーの発電量の内訳 天然ガス、原子力、輸入が3本柱となっていることが分かる。再生可能エネルギーを緑で示した。貿易や廃棄物にも同エネルギー由来の部分がある 出典: IEA(国際エネルギー機関)の公開データに基づき本誌が作成

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