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» 2017年01月11日 11時00分 UPDATE

太陽光:低コストに太陽光の出力変動を緩和、大林組が新型蓄電システムを導入

大林組は太陽光発電システムの出力変動の緩和に活用できる低コスト蓄電池システムを開発した。設備容量の最適化を図ることで、設置コストおよび「固定価格買取制度」(FIT)で定める20年間の買取期間に要する運用コストを抑えた。同社が北海道釧路町に建設を進めている太陽光発電所「釧路メガソーラー」に導入する。

[長町基,スマートジャパン]

 大林組は2016年12月、出力変動を緩和するための低コスト蓄電池システムを開発したと発表した。同社が北海道釧路町に建設を進めている太陽光発電所「釧路メガソーラー」(同町、字トリトウシ原野)に導入する(図1)。開発した蓄電池システムは、設備容量(蓄電池用パワーコンディショナ、蓄電池の容量など)を最適化することで、設置コストおよび固定価格買取制度(FIT)で定める20年間の買取期間に要する運用コストを抑えたのが特徴だ。同時に北海道電力の技術要件に適合するものとなっている。

図1 「釧路メガソーラー」の完成イメージ(クリックで拡大)出典:大林組

 太陽光発電や風力発電は、自然条件(日射、気温、風速など)の影響で急激な出力変動を生じることがあり、電力系統への接続量が増加した場合には、系統の電圧、周波数に影響を及ぼす恐れがある。北海道では2013年4月17日の資源エネルギー庁による通達「北海道における大規模太陽光発電の接続についての対応」により、同地域における大規模太陽光発電の接続が限界に近づきつつあることが公表された。

 さらに同にの北海道電力による通知「メガソーラー接続量についてのお知らせ」により、特別高圧連系の接続量の限界値は40万kW(キロワット)程度であると公表された。接続量40万kWを超えて新たに連系する大規模発電所は、蓄電池システムを事業者が設置し、出力変動緩和対策を行うことが系統連系の条件とされている。

 今回、大場屋組は同蓄電池システムの開発に当たり、三菱電機、GSユアサが共同開発チームを組成し、実際の太陽光発電所の出力変動データを用いて検討を重ねてきた。その結果太陽光発電所特有の出力変動を緩和する制御アルゴリズムの構築、蓄電池劣化を極力抑制するための最適な運用容量の割り出し、選定した蓄電池の劣化に伴って必要となる追加容量と追加時期の最適化などの成果を得た(図2)。

図2 蓄電システムのイメージ 出典:大林組

 これらの成果を踏まえ、設置からFIT期間満了までのライフサイクルコスト(設置費、維持管理費、蓄電池システムによる制御後の売電量の減少など)を抑えつつ、太陽光発電所の出力変動緩和が可能な蓄電池システムを開発し、同システムが北海道電力の技術要件に適合することを確認したうえで、釧路メガソーラーに設置する。

 釧路メガソーラーは大林組の100%子会社の大林クリーンエナジーが発電事業者として建設を進めており、発電規模は17.9MW(メガワット)の太陽光パネルを搭載しており、発電所定格出力14.5MW。蓄電池PCS出力は10MW、蓄電池には容量6.75MWh(メガワット時)のリチウムイオン電池を採用し、運転開始は2017年4月を予定している。

 大林組は、蓄電池システムの開発や今後の運用で得られるノウハウを生かし、蓄電池併設型太陽光発電所や風力発電所のEPCでの受注に積極的に取り組む方針。また、変動電源である太陽光発電や風力発電と既存の電力系統との調和性を高めるソリューションを提供することで、再生可能エネルギーの可能性を広げていく考えだ。同社はこれまでも、技術研究所(東京都清瀬市)で電力負荷平準化(ピークカットなど)や停電時の電力供給用途でレドックスフロー電池やリチウムイオン電池を用いたスマートエネルギーシステムを導入するなど、環境に調和したエネルギーマネジメント技術の開発、実証を行っている。

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