AIでベテラン技師の精度を実現、ボイラー燃料調整を自動化IT活用(2/2 ページ)

» 2017年01月12日 07時00分 公開
[陰山遼将スマートジャパン]
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広がる火力発電所へのIT活用

 2016年から2017年にかけて、こうした火力発電所にIT/IoTを活用する動きが活発になっている。故障や不具合を事前に検知して停止時間を削減したり、燃焼を最適化したりすることで、発電所の運用を効率化する狙いだ。火力発電所の場合、1%でも運転効率を改善できれば、発電量の増加や燃料費の削減などにより、数億円単位のコストメリットを得ることができる。

 MHPSは2016年9月に東京電力フュエル&パワー(東京電力FP)と、国内外のAIやIoTを活用した火力発電所の運用支援に向けた業務提携を発表している。東京電力FPの火力発電所のO&M(運用保守)のノウハウと、MHPSが持つ設計・製造・建設のノウハウを融合し、その中にIoTやAIを使った高度な遠隔監視システムなどを導入して、火力発電所の運転効率を改善する狙いだ(図2)。

図2 東京電力FPとMHPSの提携概要(クリックで拡大) 出典:東京電力FP、MHPS

 両社は提携の第1弾として、まずフィリピンで稼働中の火力発電所にIoTによる遠隔監視システムを導入し、効果を検証していく。フィリピンの首都マニラから東南に100キロメートルほどの地点にある「パグビラオ(Pagbilao)発電所」を利用する。将来はこうした検証の成果やノウハウを活用した火力発電所向けのサービスを確立し、国内外の火力発電所向けに提供していきたい考えだ。

 また、東京電力FPは米ゼネラルエレクトリック(GE)とも提携。千葉県の国内最大級の火力発電所である「富津火力発電所」にGE製のシステムを導入し、発電所から得られるデータを活用して発電設備を効率的に運用していく取り組みに着手する計画だ。こうした火力発電所の効率化に向けた取り組みは、東京電力FPの事業戦略の1つであるコスト削減にも寄与する。また、こうしたサービスを他社の火力発電所に提供していくことで、新たな収益源を確保する狙いもある。

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