チェルノブイリ原子力発電所事故を受けて、イタリアは1987年の国民投票で、原子力と決別する結論を出した。それまで原子力で行われていた発電は当然、火力などその他の発電方法へのスイッチが必要となり、当然、その原料の輸入が大幅に増えることになり、発電コストが高騰する結果となった。
このためエネルギーの自由化が実際に開始された2000年当時、すでにイタリアは、化石燃料、とりわけ石油に強く依存をしていたため、ヨーロッパその他の周辺国に比べて、極めて電気料金が高い国となってしまった。しかも、発電に天然ガスよりも石油を多く使用していたため、大気汚染も頭の痛い問題であった。
ただし、イタリア消費者が最終的に支払う電気料金の高さは、上記のような発電コストにのみよるわけではない。実際のところ、請求書金額のうち純粋に電気代が占める割合は全体の40%で、それ以外は送電などオペレーションのコストが20%、そして残りの40%が税金(再生可能エネルギー関連税金と消費税の両方を含む)となっている。
イタリアの電気料金の大きな特徴の一つは、その複雑な電気料金システムにある。具体的には、契約容量により、その料金が電気の使用量に応じ変動する段階制になっている。そして、電気の使用量に応じて1kWh当たりの料金が高くなるという仕組みがとられている。日本では各月の使用量によって電気料金が3段階制になっている一方、イタリアの電気の使用量は年間の使用量で段階制となっている。一例として、3kWhの容量で契約した場合の料金表を下記に示す。
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