植物の実からバイオ燃料を製造、無電化村落のエネルギー源に自然エネルギー

金沢工業大学はJICA「草の根技術協力事業」において、モザンビークで現地の植物を利用してバイオ燃料を精製し、無電化村落の電化を図るプロジェクトを開始する。利用するのは「ジャトロファ」と呼ばれる乾燥地域でも育生する植物だ。

» 2017年01月18日 11時00分 公開
[長町基スマートジャパン]

 金沢工業大学はJICA草の根技術協力事業「無電化村落の住民によるジャトロファバイオ燃料を活用した小規模電化プロジェクト」をモザンビークで開始する。実施期間は2017年4月〜2019年3月までの2年間を予定している。

 熱帯気候に位置するモザンビークはバイオ燃料となる植物(落葉低木)ジャトロファの活用が期待され、2005年の政府承認により生産が開始された。金沢工業大学は2011年から東京大学、モザンビーク政府および同国を代表するエドゥアルド・モンドラーネ大学(UEM)と共同で、ジャトロファバイオ燃料の持続的生産に関する研究協力(SATREPS)を行ってきた(図1)。

図1 乾燥地域でも生育するジャトロファ。この実からオイルを精製する 出典:金沢工業大学

 JICA北陸と金沢工業大学は、その研究協力の成果を受け、JICA草の根技術協力事業として同国イニャンバネ州ジャンガモ郡のリカカ村にてジャトロファバイオ燃料を活用した小規模電化と住民の生活向上に協力する。無電化村であるリカカ村は国の送電網から離れ、住民は石油ランプやローソクで生活しており、電気の普及を強く望んでいるという。

 同事業の合意文書署名式が2017年1月12日に行われ、イニャンバネ州政府およびUEM学長が署名済の合意文書に金沢工業大学の大澤敏学長が署名し、正式にプロジェクトがスタートする(図2)。

図2 ジャトロファから精製したバイオ燃料のサンプル(クリックで拡大)出典:金沢工業大学

 JICA草の根技術協力事業は、国際協力の意志がある日本のNGO、大学、地方自治体および公益法人などの団体による開発途上国の地域住民を対象とした協力活動を、JICAが政府開発援助(ODA)の一環として促進し、助長する事業。草の根パートナー型、草の根協力支援型、地域提案型3つの事業形態がある。このうち金沢工業大学が行う今回の事業は草の根協力支援型で、国内での活動実績はあるものの、開発途上国への支援実績が少ないNGOなどの団体が実施したいと考えられている国際協力活動を、JICAが支援する仕組みとなっている。

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