ラパス到着後1日を休息日とし、レース後半が始まった。夏真っ盛りのはずが、積雪がある4000m級のアンデス山脈の東側を南下、鏡のような塩の平原「ウユニ塩湖」の側方を通過し、アルゼンチン西部のフィアンバラ砂漠を越えた(図4)。
Jatón氏は1月14日に完走後、発表資料の中で次のように語っている。「長旅(odyssey)がようやく終わった。今年のダカールは天候に加え、高地が続くボリビアの地形などステージが非常に厳しく、南米で最もやっかいなレースだった。こうした条件の元でも電気自動車が完走できたことに興奮している」。実際に、アルゼンチン国内ではリオグランデ川が堤防を決壊させたため、新たなコースルートが再設計されたほどだ。
四輪部門では参加チームのうち、26%以上がリタイアした。
ACCIONAはスポンサー企業にとどまらず、自社でACCIONA 100% Ecopoweredを開発した。開発を担当したのは同社の研究開発部門とイノベーション部門。スペイン北東部のバルセロナ市から30kmほど離れた小さな町Vilanova del Vallésで車体を完成させた。開発期間は5年間だ。今回のダカールラリーに参加するまでに、既に3年間で1万5000km以上を走行している(図5)。
図6に今回採用した技術を示した。ダカールラリーのために車体から再設計したのだという。車体にはカーボンファイバーを採用し、軽量化と強靱さを両立させた。ハイドロニューマチックサスペンションで振動を吸収し、サーボアシストステアリングで悪路走行時の対応能力を高めている。ギアボックスはシーケンシャルで6段だ。
電気自動車としての特徴はモーターやバッテリーなどにある。出力250kW(340馬力に相当)の同期電動モーターは毎分6000回転し、トルクは800Nm。4輪駆動を支えた。
ダカールラリーでは余裕のある充電時間はない。そこで、60分で充電が完了する高性能バッテリーモジュールを6つ搭載した(バックアップ電源システムも備える)。3相交流(220〜415V、16〜32A)で充電が可能だ。
補助動力を得るため、出力100Wの太陽電池モジュールをルーフトップに備えた。
モーターと蓄電池、バックアップ電源システムを組み合わせた今回のパワートレインによって、世界で最も強力な電気自動車となったと主張する。
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