電気料金は新電力が安い、標準家庭で月額300円以上動き出す電力システム改革(79)(1/2 ページ)

小売全面自由化後に契約を変更した家庭や商店は2016年12月末に250万を超えた。全国の契約件数の4%に相当する。実際に契約を切り替えた需要家の満足度は高く、毎月の電気料金が安くなったことが最大の理由だ。電力会社の規制料金から自由料金メニューへ変更する家庭も増えている。

» 2017年01月30日 09時00分 公開
[石田雅也スマートジャパン]

第78回:「家庭向けのシェア2.7%、新電力300社以上が自由化6カ月目に」

 電力・ガス取引監視等委員会が集計した2016年9月末時点のスイッチング(電力会社から新電力へ契約変更)の件数は161万件で、小売全面自由化の対象になる全国の家庭や商店の2.6%だった(図1)。さらに同じ電力会社のままで従来の規制料金から自由料金メニューへ切り替えた件数は188万件に達した。両方を合わせると5%以上の家庭や商店が自由化から6カ月以内に契約を変更している。

図1 家庭など低圧の利用者が契約を切り替えた件数。電力会社から新電力(左)、電力会社の規制料金から自由料金(右)。出典:電力・ガス取引監視等委員会

 その後も契約を変更する動きは広がっている。変更の手続きを処理するスイッチング支援システムの利用状況を見ると、2016年12月末までに申請があったスイッチング件数は累計で257万件にのぼった(図2)。すべての切り替えが完了すると、全国の契約件数の4.1%まで拡大する。初年度の切り替え率は5%程度になる見通しで、まずまずの出足と言える。

図2 スイッチング支援システムの利用状況(2016年12月31日時点)。出典:電力広域的運営推進機関

 家庭や商店が利用する低圧(契約電力50キロワット未満)の契約変更は2016年1月に受付が始まった。4月の自由化後も1カ月に約20万件のペースで増えている(図3)。最も多い東京電力の管内が全体の半分を占めて、初年度に150万件を突破する勢いだ。管内の家庭・商店の切り替え率は6.5%程度まで上昇する。

図3 電力会社から新電力へ契約を変更した件数。出典:電力・ガス取引監視等委員会

 その一方で電力会社も既存顧客の維持に必死で取り組んでいる。従来の規制料金よりも割安な自由料金メニューへ顧客を誘導する作戦だ。自由化直後の2016年5月には、全国の電力会社10社の合計で90万件にのぼる契約変更を達成した(図4)。その後も毎月10万件以上のペースで自由料金メニューへ変更する需要家が相次いでいる。

図4 電力会社の規制料金から自由料金メニューへ契約を変更した件数。出典:電力・ガス取引監視等委員会

 こうして現在も電力会社と新電力を合わせて1カ月間に30万件の契約変更が続く。実際に契約を変更した需要家の満足度も高い。電力・ガス取引監視等委員会が2016年9月にアンケート調査を実施した結果、想定した以上の満足を得られた需要家が88.6%にのぼった(図5)。

図5 契約を変更した需要家の満足度(2016年9月にインターネットでアンケート調査した結果)。回答者数1000人。出典:電力・ガス取引監視等委員会
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